★びゃくむく。



「……離してください」

右手だけが熱い。彼の体温と、布との摩擦で起きた熱が随分と篭っているのに対し、左手は何の施しもなく外気に晒され感覚が無くなるほど冷えていた。

「なんで?」

――この人の言葉は、いつも漠然としすぎている。掴みどころがないとでも言うのだろうか。

だって、と僕はひとつ息をして答えた。

「ずっと握ってたら、後で離したときに冷たく感じますよ」


「じゃあ、ずっとこうしてればいいよ」


無理だとわかることを、何故かこの人は軽々しく言い放つ。なんとも自分勝手な証拠だ。


「もう、一生離さない」


言葉が脳にはたらきかけて、その意味を僕が理解するころには、右手だけじゃなく全身が温かかった。



( もう、僕は二度と君を失いたくないんだ ) ( あなたによってあなたの"僕"は失われると思うんですけどね )




クフフ、管理人にお言葉をいただければ幸いです



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