*同*
□体温
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『どうして俺達こうなったんだ…。』
「…何でだろうね。」
本当は分かってても理解したくないだけなんだって…お互い分かってるのに只理由だけを求めてしまう。
きっと、間違えてしまったんだ。
あの時それに気が付いていたら良かったのにー…。
体温
乾と僕が体だけの関係が続いたのは本当に最近。
キッカケは僕が乾を脅したからだけど…まさか、その脅しに乾が挑発されるとは本当に予想外だった。
彼にしてみれば、冗談だろう?って、言って絶対断るんだろうって僕は思っていた。
けど、乾からしたら余程相手に嫌われたくないらしく、仕方なく僕の脅しに付き合ったみたいだ。
だけど…最初はお互い気まずく、一回で終わると思っていたのに、いつの間にか僕が乾を求めているみたいで最近では、それが凄く嫌になる。
それに気が付いたのか、逆に乾は僕の弱みを握り僕を脅してきた。
『俺は人に抱かれる趣味はない。』
そう言った乾。
だから、もうこの関係は終わりを迎えるんだ。
と、思っていた。
『…だから、今度は俺がお前を抱く。』
「…え?」
乾の体温を僕の体が欲しがって求めていたのに…今更終わりになるのも惜しいと、思った。
だけど、その言葉で僕達の曖昧な関係は続いていた。
本当なら海堂に想いを伝えて幸せになれば良いのに…。
僕が乾だけを欲しくて求めてしまう体に慣れてしまう前に早く海堂の所に行けば良いのに。
じゃないと、僕の体は乾の体温が欲しくて欲しくて堪らなくなってしまうから…。
「何で温もりって欲しくなるんだろう…こんなの僕らしくないや。」
そう呟いた声は乾には聞こえないが只理由を探して、寝ている乾の体温だけを感じていた。
*end*
2009 3.22 ゆき