神話
□*冷たい主*
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言った後、もちろん後悔したが、男の方が、もっと驚いたようで、自分が笑った事に気づいてなかったようだった。
ふと、その男は何か考えた後、その男は一言、ついて来いと言って歩き出した。
「え?あ、足枷が……」
足枷があるのに、どうやって、そこまで行けるのか、と疑問を口にしようといた時、自分の足に何もついていない事に気付いた。
さっきから一言も話さないこの男に、警戒心を解くつもりはなかったが、この状況下では、この男について歩くしかなかった。
生まれからずっと生活してきた城は、全て氷の下に在り、此所で過ごしたかつての日々が、全て偽りだったのではないかと思ってしまう位、暖かさなど、少しも感じられなかった。
いくつかの、廊下の角を曲がり、男が向かっている場所がわかった。
――――姉様の部屋!!
そう気づいて、怒りがまた沸きだした。
何故、この男は部屋へと連れて来たのだろう。
ただ単に、その場所を使っているのだろうか?
そんな事を自問自答していると、男は姉様の部屋へと入った。
部屋の中は、やはりあの日から何も変わらずに、氷の下で主人の帰りを待っているようだった。
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