変態
□「お兄ちゃん」でも可っ!
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エレベーターで四階まで上昇し、今は1年の教室の前の廊下を、四人が堂々と行進中である。
え?他の1年の姿が見当たらない?うん、だってこの校舎のこの階にいる生徒の数は、僅か60人弱だもん(^_^;)
それに、俺達遅刻してるから、廊下には俺達しか居なくて当然だろ?(笑)←誰?
「え?俺達遅刻してたの?」
※バリしてます。しかも現在進行系で。
「ええ。授業はとっくに始まっている時間ですが、我々特別生徒は、それなりに融通が効くので、安心してください」
どんだけ自由なんすか?
「そーそう!どうせ、勉強なんてしなくたって平気だろ?」
「「「…いや、お前は勉強しなきゃ駄目だ(な‥)(だよ)」」」
三人のツッコミに、麗は何だよ俺ばっか!っと喚く。そんな赤沢は無視し、1-Sと金縁の凝った作りで、いかにも金持ちの悪趣味感漂う表示札の、これまた豪華なドアの前で、隆也が止まった。
すると、中からタイミングを見計らったようにドアが開いた。って、このドア自動で開くのかよッ!と、思っていたら、中から背の高い茶髪の男が顔を出した。
「あ、やっぱり僕の勘は鈍って無いようだねVさ、入って入って(*^∇^*)」
「もしかして、俺達の気配でタイミング良く開けたのか?」
どうやら自動ドアでは無く、この、のほほんとした男が中から単に開けたらしい。しかし、それにしたってタイミング良すぎだ。
「…まあ、兄貴の唯一の特技ってヤツですかね…」
「兄貴?」
「あれ?聞いて無いんですか?」
「はいはーい。中でちゃんと自己紹介するから、とりあえず教室に入って来てねー」
中からの催促に、適当に返事をし、教室の中へと一歩踏み入れる。
その瞬間、教室中から要の事を射るような眼が飛んで来た。が、要は至ってマイペースに前へと踏み出す。席は、隆也が教えてくれた、そこに座る。名前順では無いらしく、要の隣には隆也が、後ろには慎一、赤沢と並んでいる。
「はい。それでは、もう皆顔見知りだと思うけど、新1年生らしく、自己紹介から始めたいと思いますVV」
と、爽やかな笑顔で、語尾にハートが付くくらいな口調で切り出した。
「まずは、僕から。佐伯慎二(サエキシンジ)です。このクラスの副担と、理科系の教科を担当してます。好きな食べ物は、羊羹ですVV[キャー、可愛いー]誰かくれないかな?[あげまーすV][先生、貰って!]」
続いて、要の番。クラスの皆の視線が一気に集まる。
「…西園寺要(サイオンジカナメ)です。‥眠いんで、以上」
教室中からは、どよめきやら悲鳴やら…とにかく五月蝿。続いて、慎一のターン。
「えーっと、中等部からだから知ってると思うけど、佐伯慎一(サエキシンイチ)です。あー、副担の馬鹿は、兄貴なんで、大目に見てやってください。‥まぁ、こんなもんかな?じゃあ、次!後ろの馬鹿に替わりまーす」
「誰が馬鹿だ!馬ー鹿!‥ふんッ。名乗る必要ないだろ?次のヤツにパス!」
ふーん。あの人って慎一の兄貴なんだ…。つか、この二人人気あんなー。周りのギャラリーがスゲェ五月蝿。うぜー。黙れ、ボケ。←(汗)
そんな感じで一人一人の自己紹介が済んで行き、隆也の順番が回ってきた。
隆也が席を立つ。それだけで、周りの生徒達はその姿に釘付けになり、声どころか、微動だにしない。
「…神谷隆也(カミヤタカヤ)。西園寺要様直属の執事兼秘書をさせて頂いています。この学園では、1年の生徒会副会長を務めていきます。好きなモノは、静かで大人しく、騒がないモノです。以上で、自己紹介を終わります」
巧いぞ、隆也!おかけで、全員静かで大人しく騒がない者(物)になった♪
でも、このクラスのヤツらって全員……υ
隆也に哀れみの眼を向けると、要は眠気から早速机に上半身を預け、寝る体勢を作るのであった。