□doll
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人形は涙を流さ無い。
喋ら無い。
動かない。
感情が無い。


じゃあ僕はどうだろう。僕は涙を流さ無い。動けない。感情は…

在るのだろうか?
意識はある。でもどうしたい、っていう願望が無い。

僕は死んでいるのか?
これが死というものなのか。思っていたより、恐く無いな。

ガラスケース越しに、一人の少女が人形を見つめる。「お父様、このお人形が良いわ」

父は愛する娘の願いを快く引き受けた。
「この人形はいくらかな?」
数分後、少女の手にはあの人形が握られていた。

ピグマリオンが作る人形はまるで生きているようだと評判だった。

まさか本当に命が宿っているなど誰も知らない。

その意識を命というのかさえ問わなければ、人形には命が存在するのだろう。

僕は涙を流さ無い。
喋れ無い。
動けない。
感情が無い。

それでも生きているのだろうか?

意識が在るなら生きているのだろう。
でも感情がなければ死んでいる?

欲求や願望が無い僕はdoll

誰も答えを出さないで。


 

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