捧
□5555-かにかま様
1ページ/1ページ
人を斬った後の気の高ぶりは、中々収まらないとは、誰が言ったか。どうやらそれは、天人にも言える事らしい。
行き場の無い、気の高ぶりは、毎夜行われる宴会で全て発散出来ると思っていたのは頭の堅い上層部だけで、血気盛んな若者達には、それだけでは物足りないのである。
しかし、坂田銀時も、その若者の一人のはずだが、彼はどちらかと言えば大人しくしている方だ。
騒いで飲んで楽しく過ごす日もあるが、坂本と二人静かに星を眺めるというロマンチストな面も持ち合わせ、何処か掴み処の無い男だった。少なくとも、高杉はそう思っていた。
だから、こうして抱かれてる最中でも、時々、どの顔が本当の顔なのか、疑問に思っていた。
「…高杉、なんか違う事考えてんだろ?俺傷ついちゃうよ?」
「…はっ、…なんで‥も、ねーよ…///」
「…まぁいーけど、俺以外のヤツの事、考えてたんなら、許さないよ?」
そう笑いつつも、相当気に食わないらしく、強くピストン運動を繰り返す。
……情事の最中にこの発言。
解って言っているのか、それとも本心から言っているのか。………どちらにせよ、かなり恥ずかしい台詞のはずなのだが、何故か真っ正面から来る奴に対して、真っ直ぐに受け入れる心のゆとりは存在するのだ。
情事の後。
月は高いところで輝いている。
「‥銀時」
「んー?」
……久しぶりに自分から接吻けた。
「どーした?やけに積極的じゃん」
「……今日は俺に委ねてろ…」
俺の前にいるヤツも、戦場で戦っているヤツも、全部俺が知る範囲の坂田銀時でしかない。
そんなことは解っているのだ。
だけど、それが胸の辺りをちくちく刺していると思うと、この男の全てを知りたくなるものだ。
この感情全てをひっくるめて、愛と呼ぶならば、俺は相当、この男に…
.