変態
□お兄様とお呼びっ!
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それは、突然の事だった。いつもの様に部屋で、テレビも付けずに、長椅子に座って静かな時間を過ごしている時の事だった。
窓から差し込む神秘的な光を、目を細めながら見つめ、暖かな空気を浴びて身体と頭を休めていると、自然と眠くなってきた。
うとうとと眠りの世界との狭間で闘っていたが、遂に瞼が開かなくなった時、部屋の扉が開いた音がした。
隆也が来たのだろうか、と考えたが、部屋に入って来たのは全く予期していなかった人物だった。
「…!!な、何故、貴方が‥」
部屋に入って来たのはその男の他に二人、華奢な身体だが、引き締まった筋肉の付いた男たちがずかずかと入って来た。
突然の展開に訳も解らず困惑していた要だったが、この二人の男たちに両腕を押さえられ、捕まったことを認識し、抵抗する暇もなかった。
「くっ……チッ、‥どうせ俺が止めても、貴方は止めてくださらないのでしょう?」
要は口元に皮肉を表しながら、目の前で涼しげな顔をしている男に言った。それは抵抗したところで、かえってこの男を喜ばせるだけだと言う事を、散々思い知っている要の、最大の嫌味だった。
「解ってるじゃない?」
そしてこの男自身、その事を良く理解していた。
「ただいま。要、久しぶりに会えてとっても嬉しいよ」
効果音が在るならば、確実にニコッと言う音が出ただろう。爽やかな笑顔で優し気に微笑む。
「……お帰りなさい。純兄」
対して要は無表情でいた。
「もう、本当要は可愛いんだからVv そんな怖い顔も良いけど、やっぱり要には笑って欲しいなー」
本気で言っているからこそ、気持ち悪い。