変態
□俺の仕事っ!
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―――麗らかな午後。澄み渡る空。心地よい春の風。
―――――そして、俺の前で小さく震えるチワワ。
中庭のベンチで、ぼーっと春の雰囲気を満喫していた俺のところへ、緊張して顔を真っ赤にしたちっちゃな男の子が現れた。
クリクリした目で上目使い。震えるその姿は、まさにチワワだ。
「あ、あの、西園寺先輩っ!今お時間よろしいでしょうか?///」
「んーなn「ぼ、僕は1年A組の萩原香と言います!実は僕、貴方が入学して来た時からずっと先輩に言いたい事がありまして‥」え?何?」
まだ人が話してる最中なのに…。俺の一番嫌いなタイプだ。うん。人の話は最後まで聴け。チワワ君。名前名乗ったけど、覚えねー事に決定!
俺がそんなことを考えているとは梅雨知らず、ベラベラ喋るチワワ君。………何言ってんのか全然解んねーヽ(´ー`)ノ
「――それであのっ、「つまり、君は今俺に告ってるのかな?」
だんだんとこの子が言いたい事が解ってきて、思いついた事を口にして、確認してみた。
すると、チワワ君は大げさに身体をびくつかせた後、顔を赤らめ、身体をモジモジさせ、うつ向いてしまった。
あー、またか…
しゃーない‥
「もしそうなら俺、君に興味無いからさ?さっさと帰りな?」
そう言えば、この子は泣きながら走って帰るだろうと、これまでのパターンから予想していたんだけど…。
「ッ!!」
予想通り、目を見開き、信じられない、というような顔をした後蒼白になって、うつ向いてしまった。
早く一人になりたいな、と思っていると、チワワ君がぽつりとつぶやいた。
「……そ、それじゃあ、あ、あの、最後に僕にキスしてくれませんか?」
「……ハァ?」
ここに頭おかしい子が居るよ!!普通、此処まで酷い振られかたしたら、こんな発言は出ないはずだよね?オイオイ、冗談は告るまでにしてくれ。
「お願いします、そしたら潔く先輩を諦めますから」、としつこい。
いい加減ウザくなってきたので、俺は要求通りにキスしてやることにした。このままでは、俺の一人になる時間が減ってしまう。それだけは、避けたい!
「……ハァ、解ったよ」
チワワ君は、今度は天国へと導かれたような表情をした後、目を瞑った。
ヤバ、吐き気が。
「何をしているんですか?」
そこで現れたのは、俺が今物凄く逢いたく無い人物。
「か、神谷先輩っ、!!」
突然現れたコイツに、またまた顔面蒼白な、彼。
ワォ!顔の色変わるの早いなぁ〜。
―――あーあ、それにしてもまたコイツに見つかるなんて、なんて不幸な少年なんだろう。
別に同情などしないが、さ。
「君は、確かA組のはずだ。何故此処に居る?どういう理由があろうと、特別クラス専用のプライベートスペースに入る事は禁止されている。その事は生徒手帳にも在るように、君も知っているはずだ。…後で生徒会室に来い。そこでゆっくり事情を聞こう」