&‐アンド‐

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「その口、今すぐ閉じなさいよ」





一部始終、聞こえた。
私はゼクロムと戦ってない…イベントは終わってないはずなのに。
この展開。
やっぱり駄目だ、怒りで…ゲーチスを本当に殺してしまいそうだ。






「この高さから落ちて、無事とは…」





私が手を上げれば、レシラムが城の中に堂々と入ってくる。
その姿を見てゲーチスは口元を綻ばせる。
まるで計画通りだ、と言わんばかりに。





「化物だって…そんなの一番言ってはいけない言葉…それが大事な子供に対する言い方なの!!?」

「レシラムが目覚めたのですね…フフフ…ハハハハハ!!!!」

「何が面白いの!!?」

「お前は私の手の中で踊るマリオネットだ。多少シナリオは乱れてしまったが、私の計画に狂いは無い!!!」

「…」

「子供?そんなの一度も思った事など無い!!!」

「じゃあ、何だって言うの!!」

「道具」

「!!」





ゲーチスははっきりと、言った。
何の感情も込められずに、それが至極当然であるかのように。





「さぁ!!!これで役者は整った!もう一度再開しようじゃないですか…N!!」

「っ!」

「戦うのです…その女と!!!」

「…」





Nが酷く動揺してるのが分かる。
目の前に突きつけられた“真実”
混乱するのも分かる。
だからと言って…まさか、本当にゲーチスの言う通りに従うって言うの?
それでも尚、あの人の為に?




「N…」

「再開しよう、リリィ。まだ勝負はついてない…
まさかゾロアークが邪魔をするとは予想外だったけどね」




嘘。
本当は今にも逃げ出したいくせに意地を張って。
それで私と対等になったつもり?

Nは強くなんか無い。
寂しい独りぼっちの、ただの子供。




「リリィ!ゾロアークが…」




ゾロアが叫ぶ。
Nの傍らにはゾロアークが頭を抱えていた。
それは、感じてはいけない、視てはいけないものだった。
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