&‐アンド‐

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「…」




ゾロアークはどこへ行くのだろうか…。
さっきからずっと城の中を巡っているような気がする…。




「リリィ…」

「人間ってホント自分勝手だよねー」

「?」

「これ、私の推測でしかないから聞き流していいよ。
君たちが卵の時、その親であるポケモンと何かあったようだね。それでゾロアークはあんなにも人間に対して敏感になってしまった。
きっとゾロアが卵の中で私たちの声が聞こえていた時と同様…ゾロアークもまた、聞こえてたんじゃないかな。
弱いポケモンはいらない、とか。そんな環境の中で育てば、自分が捨てられたくないから…
自分だけを愛して欲しいと思うようになった…
それでゾロアは生まれてこなければいいと思ってしまった。そうしたら、本当に卵から孵らなかった」

「…」

「怖かったんじゃないかな、まさか本気で思ったわけじゃないのに。
だからこうして謝りにきた。わざわざ私たちの所に来て…ゾロア、あのコまだ嫌い?」

「…ゾロアークが兄弟なんて考えられないけど、今は嫌いだ何て思えないや…」

「そう。よくできました」






そう言って、ゾロアの頭を少し撫でた。
どうにもダークトリニティの影がちらついて離れない。
彼らも…きっと心のどこかでは…。





「げほっ!?」






急に咽返る。
思わず口に手を当てたが、一瞬目を見開いた。





…血?





思い当たるのは一つしかない。
薄憶の葉…やはり中毒性・麻薬的ものか…。
あんだけ頭を真っ白にさせられて、副作用が何にも無いなんて…ありえないか。
薄々は感づいていたけど…まさか、ね……。



冷や汗が、頬を伝う。




時計の針は、もう動き始めた。
シンデレラはいつまでも夢に浸ってはいられないのね。




「リリィ、ちょ、血!!!」

「ばーか。ケチャップだよ」

「え…」

「朝ごはんにオムライス食べたから口についてたみたい」

「朝からそれはちょっと重くないか!!?」

「え、私の家昨日の晩御飯がカレーだったら次の日の朝カレーだよ」

「重いいいいいい!!!!」





カレーは一晩置くほうがおいしいのです。





「あれ、ゾロアークが立ち止まったよ?」




前方を見れば、ゾロアークが止まっている。
かと思えば急に床を叩き始めた何あれ怖い。




「え、頭おかしくなっちゃったのあの子?」

「……リリィ、見て!!」





床を剥がしてる…?
じゃなくて、隠し扉!!?





「…ん?」





ゾロアークが手を突っ込んで何かを取り出す。
それは、出てきた。







「アルバム…」







嫌な予感しかしない。
大分年季が入ったアルバムだな…。
ゾロアークがこちらを見て、そのアルバムを床に置く。
そして、再びこちらを見て隠し扉の下に下りていった。
…これを持ってついて来い、か。


なんでこんな所にアルバムがあるんだろうか。
その中には…。
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