&‐アンド‐

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「リリィちゃん素敵ーーー!!!」

「ベルうっさいわ!!!」

「だってカッコイイんだもん!!惚れちゃう!!!」

「げほっ…まーな……やっぱあいつには敵わないわ…」

「トウヤ、起きてて大丈夫?」

「こんな時に寝てられっかよ…(怪我した時…うろ覚えだけど、確かに本物のリリィが看病してくれた…)」

「第一それは自業自得なんだから!さっさと自分で歩きなさいよ」

「トウコひっでぇ。まぁ、そうだけどさっ(…ずっと泣きながらごめんね、なんて言いやがって…
あれも演技だって誤魔化すのかよ。全く…良くわかんねぇ奴だなーもー)」






私はきゅ、と唇を結んでトウヤの方を向いて頭を下げた。





「謝るなよ…!」

「…待たせちゃってごめん」





あとは、もうプラズマ団を突っ切るしかない。
シナリオ通りじゃなくたって構わない。
もうあるがままに突っ切るしかない。





「…」





雑音が響く中で、どよめくプラズマ団の中で。
たった一人、冷静な男がいた。






「…リリィ」





いや、冷静じゃないか…。
やっば…あんなに怒ってるN初めて見た…。





「絶対にキミをここから逃がさない」





次つかまったら、それこそ終わりだな。
こんどは監禁?
…上等!どんなプレイでも受けてたってやんよ!!





「まずは」




ここにいちゃ駄目だ。
私はくるりと後ろを向いて、ヒサキさん達のほうへ走り出す。
一旦皆をモンスターボールに戻して、ゾロアを肩に乗っけた。






「リリィーーー!!!」

「ごめんね!ゾロア!!待たせちゃって!」

「リリィからいっぱい酷い事いわれたとき…もう駄目かと思ったああああ!!!」

「ごめんごめん。大丈夫…あとはライトストーンを見つければ問題ない!…はず」




レシラムが、目覚めてくれればいいのだけれど。




「皆、一旦ここを出よう!!プラズマ団が多すぎだし…皆を庇って戦える自身が…」

「フン。何を言うかと思えばそんな事か」

「え?」





と、ヒサキさんが私達を蹴飛ばして扉から放り出した。
一体どういうつもりだ?





「…まさか、ヒサキさん!!?」





あなたはここに1人残るというわけじゃ…。




「駄目!ヒサキ姉!!!皆で…戻るんでしょ!?」

「残念だが、私はまだ決着が付いていなくてな。決めたんだ。私もいつまで逃げてるばかりじゃなくて―――」

「っ…」

「全てお前に教わった。リリィ」

「……え」

「努力も、必死さも、勇気も、純粋さも、全部全部お前が教えてくれた。
初めは何も知らない他人だった。お前を利用してバル子をどうにかしようとしていた、どうにかなると思っていた。
お前の傍にいたバル子ならどうにかなると思っていた…けど、それは違う」




私達に背を向けたまま、ヒサキさんは淡々と続ける。




「私がどうにかしなくてはいけない。逃げてはいけないことも、お前から教えてもらった。
だから私は向き合おうと思う。自分の過去(トモダチ)に」

「ヒサキさん…」

「お前がNを助けるというならば、私はバル子を救う!!だから」





ヒサキさんは少し後ろを振り向いて、笑った。
無邪気な笑顔で。





「行きなさい。リリィちゃん」





そう言って、扉を閉じられた。
強引に、一方的に。
こちらからは有無を言わさせずに。





「っ…そん、な」

「ちょっと待ってくださいヒサキさん!!」

「ヒサキ姉!!!」





扉は叩いても、開けようとしても開かない。





「…約束は守ります」




と、呟く。
4人が振り向いて、私は唇をかみ締めた。





「全てが終わったなら、バル子さんのポケモンのこともあなたの過去も全部全部っ…私が請け負いましたから!!!!」





だからだから!!!






「そこで待っててください!!!
いつもみたいに先輩面して、威風堂々と立っててください!!!!」





必ず、この約束は守り通します。
私の正義<プライド>にかけて!!!
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