&‐アンド‐
□26
3ページ/5ページ
「"エル様…?"」
「極端な話、白は黒を塗り返すことが出来る。修正可能さ。
だけど黒は修正不可能…インクが零れたら、もうそれでおしまい。
だからきっと白の存在として、私は…」
そこまで言って、ドアがノックされた。
「"時間です、エル様。式の準備が整ったようです"」
「うん。よろしく」
「…式?何のこと、ねぇ、リリィ?」
にっこりと笑ってゾロアをベッドの上に乗せて、その頭を撫でた。
「ばいばい」
手で兎の形を作って、ぐずる子供をあやすかのようにして部屋を出て行った。
バル子さんが「"私、手でカニ作るの得意ですよ"」と冗談めいたこと言いながら、歩を歩めた。
***
「"いいですか、エル様。これからあなたはプラズマ団の王であるN様からティアラを頂きます。そして一礼し…"」
重々しい扉の前で、私はバル子さんに儀式のやり方を教えてもらった。
「威厳をお忘れなく」
「あはは…できるかな」
「できますとも。エル様なら」
息を吸い込んで、深呼吸。
やっぱりどこでもどんな場面でも、注目されるというのは緊張する。
さて、そろそろ…終わりにしよう。
このティアラを頂いた時、私は女王になる。
全ての伏線をばらばらにするくらい。
物語は一本に繋げる為に。
希望?
そんなもの一体誰が信じたというの?
希望は当の昔に捨て去ったのだから。