&‐アンド‐

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「…ト」






私の目の前に、男の子が。
私を庇って倒れて。
トウヤが、血だらけで、その腹を血に、染めて、真っ赤で。
床がどんどん赤くなっていって。




真っ白いワンピースは朱色に染まっていく。








「トウヤあああああああああああああ!!!!!」







女の子の劈く悲鳴が、響き渡った。







「…っ」






庇う?
そんな理由どこにあるの?

馬鹿なの?



ねぇ、答えてよ。







「…トウヤ、トウヤ、トウヤ!!!」






女の子はトウヤの元まで駆け寄ると、その場に膝から崩れ落ちた。
ただただ、泣き叫ぶ。






「…トウヤ?」





ぽつり、零す。
不意に口から漏れた言葉。




トウヤは少しだけ目を開けた。





「やっと……呼んでくれた…俺の……なま、え…」





血だらけの手で、私の髪をすくう。
髪も血に染まる。
白だから、余計に目立ちどんどん赤に赤色に犯される。






「……リリィ」







そう呟いて、トウヤの手はするりと落ちた。






「…っ!!?」







トウヤは、動かない。
動かない。




突然女の子ではないエルフーンの記憶がよみがえる。
部屋に取り残されていた、あの子よりも小さくて弱っていたエルフーン。




死んでしまった―――






私のせい?









ドクンッ!!







「うあ…あああああ!!」







私が、私が!!!?






「"エル様ッ!!!"」







世界が、暗転した。
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