&‐アンド‐

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***








「…る、き」





あのバル子さんが転寝してる…。
疲れてるのかな?
るきって何だ?ルギアのことか?




起すのもかわいそうだし…ああでもルギアのこと教えてもらわないとなぁ。



意を決して、揺り起こしてみることに。




「バル子さん」





肩を揺すって見ると、少し目をあけた。
それからしばらくボーッとしてたが、いきなり私と焦点が合うと椅子から飛び起きた。




「"失礼。私としたことが"」




行きましょう。
といって部屋を出た。
先頭を歩くバル子さんはやっぱりちょっと…。




「…疲れてない?あ、そうだ。バル子さんもこれを―――」

「"っ!"」





N様からもらったネックレスを外して、バル子さんの前で香りを漂わせて見る。
だが、バル子さんは引きつった表情で後ずさる。





「…どうかしましたか?」

「"私、は。その香り苦手です…香水っていうタイプじゃないので…その…お気遣いいただき、ありがとうございます…"」

「あ、ごめん。そうだよねー香水嫌いな人って全部苦手な人多いもんなー」

「"申し訳ございません…"」

「いや。バル子さんが謝ることないですよ。私も悪いですし…」

「"…エル様は本当にお優しいですね"」

「優しくなんか、ないよ」

「"え?"」






優しくなんか、ない。





「気取ってるだけだよ。正義面を」

「"…"」

「ただの、偽善者さ」





人間、そういうもんだろ?
平凡で他人行儀で、勝手に自分を主人公だと思い立てて。
正義ぶったりしてさ。
何も出来ないくせに、机上の空想ばかり広げてさ。





「馬っ鹿みたい」

「"お言葉かもしれませんが…もしかして、エル様はご自分があまりお好きでないのでは…?"」

「うん。大嫌い」





バル子さんは表情を消した。
あーあ…幻滅したかな?


さっきは女王女王って、崇めてたくせに。



やっぱりこんなものか。





N様は他の人とは違う。
だからこそ興味を引かれたけど。





「"それは素晴らしい"」

「えっ…!?」




…そんな事、言う人、初めて見た。
体外の人はドン引くんじゃないのかな?




「"誰しも自分が好きと言う人間ばかりではないのですよ。
あなたがこの女王になるなら、それくらいの信念をお持ちでなければ"」





黒ければ黒いほど、闇は濃くなるものです。





「"…私も昔、そんな人を相手にしたことありますからね"」

「…」

「"さて、つきましたよ"」





城の中を歩いて、大きな扉の前に立った。
プラズマ団云々、ゲーチスなどなどは以前話してもらったし…
ここの組織の強大さも理解した。
だけど、ここまで大きな扉があるなんて…。







そこは






まるで、牢獄のようだった。
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