&‐アンド‐
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「…る、き」
あのバル子さんが転寝してる…。
疲れてるのかな?
るきって何だ?ルギアのことか?
起すのもかわいそうだし…ああでもルギアのこと教えてもらわないとなぁ。
意を決して、揺り起こしてみることに。
「バル子さん」
肩を揺すって見ると、少し目をあけた。
それからしばらくボーッとしてたが、いきなり私と焦点が合うと椅子から飛び起きた。
「"失礼。私としたことが"」
行きましょう。
といって部屋を出た。
先頭を歩くバル子さんはやっぱりちょっと…。
「…疲れてない?あ、そうだ。バル子さんもこれを―――」
「"っ!"」
N様からもらったネックレスを外して、バル子さんの前で香りを漂わせて見る。
だが、バル子さんは引きつった表情で後ずさる。
「…どうかしましたか?」
「"私、は。その香り苦手です…香水っていうタイプじゃないので…その…お気遣いいただき、ありがとうございます…"」
「あ、ごめん。そうだよねー香水嫌いな人って全部苦手な人多いもんなー」
「"申し訳ございません…"」
「いや。バル子さんが謝ることないですよ。私も悪いですし…」
「"…エル様は本当にお優しいですね"」
「優しくなんか、ないよ」
「"え?"」
優しくなんか、ない。
「気取ってるだけだよ。正義面を」
「"…"」
「ただの、偽善者さ」
人間、そういうもんだろ?
平凡で他人行儀で、勝手に自分を主人公だと思い立てて。
正義ぶったりしてさ。
何も出来ないくせに、机上の空想ばかり広げてさ。
「馬っ鹿みたい」
「"お言葉かもしれませんが…もしかして、エル様はご自分があまりお好きでないのでは…?"」
「うん。大嫌い」
バル子さんは表情を消した。
あーあ…幻滅したかな?
さっきは女王女王って、崇めてたくせに。
やっぱりこんなものか。
N様は他の人とは違う。
だからこそ興味を引かれたけど。
「"それは素晴らしい"」
「えっ…!?」
…そんな事、言う人、初めて見た。
体外の人はドン引くんじゃないのかな?
「"誰しも自分が好きと言う人間ばかりではないのですよ。
あなたがこの女王になるなら、それくらいの信念をお持ちでなければ"」
黒ければ黒いほど、闇は濃くなるものです。
「"…私も昔、そんな人を相手にしたことありますからね"」
「…」
「"さて、つきましたよ"」
城の中を歩いて、大きな扉の前に立った。
プラズマ団云々、ゲーチスなどなどは以前話してもらったし…
ここの組織の強大さも理解した。
だけど、ここまで大きな扉があるなんて…。
そこは
まるで、牢獄のようだった。