&‐アンド‐
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鏡の中を覗いてみれば、いつもと違った私がそこにいた。
「"ハーフアップにしてみました…エル様は縛るより自然体がお美しいのですから
その形を崩さないような髪型にしてみました。どうですか?」
「可愛い…バル子さんって本当にお姉さんって感じです!ありがとうございます!!」
「…ふふ」
バル子さんは優しく、微笑んだ。
それは心から笑ったという感じで…こっちが本当の笑顔のような気がした。
「"あと、普通にオシャレグッズとしてシュシュをどうぞ"」
バル子さんが白いシュシュを手渡してくれた。
本当に白多いな。
いや、別に白好きだけどさ。
「オサレグッズ…」
「"オシャレです。田舎臭いですよエル様"」
「はっきりいうな、バル子さんは」
コンコン。
扉をノックする、軽快な音。
それを聞きバル子さんは鏡を置いて、扉を開けた。
そこにいたのは、N様。
「やぁ。エル、可愛いじゃないか。似合ってるよ」
「小っ恥ずかしいこといわんでくださいよ、N様」
「そういうところも変わらないね…」
「ん?」
「さて、エル!君の本来の力を取り戻すために…やるべき事がある」
「本来の力…?」
N様はモンスターボールを取り出して見せた。
「そう!君は素晴らしい力を持っている。だけどそれは埋もれてしまっていて、それを取り出すために一度リセットしたんだ」
「リセット、ですか」
「初期状態に戻して、丁寧に教えていくのさ。無駄なことは忘れて、大事なところだけを」
「…へぇ」
それを聞いたらリセットさんは怒りそうだなぁ。
…リセットさん、って誰だっけ?
知らないことを知っている…?
「エル?」
「…なんだか自分が良く分からないんです。知らないことを知っていたり…」
「バル、後で紅茶を出してあげて。エルは疲れているみたいだから」
「"かしこまりました"」
疲れてるだけなのかなぁ。
「エル、これを君に」
と、N様はネックレスを渡してきた。
球体の中にピンクの粉が入っている。
…なんだろ、良い匂いがする。
「これはね、疲れを取る効果があるんだ。
君にそんな状態が再び感じた場合、これを振って匂いを嗅いでごらん。疲れが取れるよ」
少し振ってみる。
確かに、いい匂いだ。心なしか身体が軽くなったような気がする。
「そう…良い子だね、エル」
「…楽に、なりました」
「なら良かった!……さて。エル。さっきの話に戻るけど、ポケモンは分かるよね?」
「はい」
「ポケモンとしばらく生活をしていて欲しいんだ」
「…ポケモン、とですか」
「ちょっと特別な事情があるポケモンから、怪我したポケモンとかなんだけど…
回復するまでエルが面倒を見てくれないかな」
「はい。それがN様の望むことならば」
私はどんな事でもしますよ。
N様のいう事は、断る意味なんて無い。
あなたの忠実な僕同然だから。