&‐アンド‐

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「…こんなの、似合わな……い…」

「"いえいえ!やはりエル様には白をベースとした…こちらのお洋服がお似合いですわ"」




バル子さん、と名乗る彼女はどこかに去ったあと再び私の部屋にやってきた。
その手には複数の箱を抱えていた。



メジャーを取り出すや否や、身体のあちらこちらをすみずみ触られ測られ、もうくったくた。





「うー…リボンなんてキャラじゃないし…」





半袖の白をベースとした黒いラインの入ったワンピース。
ご丁寧に膝上の丈の長さだ。
腰には帯の様に同じく白×黒のデザインのリボンが巻かれ、後ろで結ばれていた。
しかもちょっとリボンが大きい。
可愛い奴よりも、ちょっとヘンなのが好きなんだけどね…。






例えば、ブッサイクな兎とか…。





あれ?





兎?





「"どうかしましたか?"」

「あ、いや…なんでもない」






気のせいかな。
大事なこと、忘れてる気がする。





「"エル様、こちらへ。髪を結いなおして差し上げますよ"」





バル子さんは椅子を持ってきてくれた。
私はそのまま椅子に腰をかけると、バル子さんは私の白い髪に櫛を通す。





「"あら…素晴らしい髪ですね。さらさらしていて、櫛もすんなり通りますね"」

「いやー…髪は女の子の命だからね」

「"!!"」

「…バル子さん?」






バル子さんの手が、止まる。
何かと思ったが後ろを振り向きたくても結われている状態のため、後ろを向けない。






「"…いえ。失礼しました"」

「ふーん…」





とくになんでもないようだ。






「バル子さんも髪長いですよね?小さいころから伸ばしてるんですか?」

「"…いいえ。私が幼い時、一度切られましたの"」

「切られた?」

「"こんなファンキーな私ですけど"」






博ゥ分で言っちゃったよこの人!!




自覚あるんかい!!
ならばなぜ止めない!!!!





「"昔はよく、苛められていました"」

「―――え…」

「"こんな性格ですから、そりゃあ近所の悪ガキ共に陰湿な嫌がらせを受けていて…
ある日、ヒーロー見たいに助けてくれた女の子がいたんですよ"」

「…」





淡々と語るバル子さん。
その話しぶりは、どこか懐かしんでいるようで。



けれど、決して綺麗な情が篭っているようには感じられなかった。




苛められた、とか…そういう記憶があるだけかもしれないけど。
でも、何か引っかかる。





「"その子は、病弱な癖して…私を助けて……"」

「…」

「"苛めてた子達に髪切られちゃったんですけど、女の子があなたと同じ事を言ったのですよ"」

「私と?」

「"髪は女の命だ。それを無造作に扱う奴は地獄に落ちろ、って"」





くすくすと、バル子さんは笑う。
その人はきっとバル子さんの大事な友達なのだろうか。
きっといい人のはずだ。

























「"まぁ、いつしかその言葉は私に向けられるようになったんですけど"」

























ゾクッ






声、のトーンが変わった?
何コレ…バル子さんって……一体…。





「"なんてね☆"」





出来ましたよ、と言って鏡を持ってきてくれた。
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