&‐アンド‐

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「リリィ…お前、前からポケモンと話せること自覚してったって言ったな?」

「…薄々、感じてました」





きみは ないて いるの?




その声は、人ではないと知っていた。
もしかしたらその声は―――





「そうか…」

「でも感じるだけであって…その、なんというか…しっかり話せるわけじゃないです。
多分、ゾロアと話せるのはずっと一緒だったり特別だからだと思います」





曖昧なんです。
ちぐはぐなのですよ。




「…お前は間違えるなよ」

「え?」

「かの王の様にな」

「…」






Nは…。
あのエンディングの後、どうなるか知らないけど…あのままじゃ嫌だ、な。
幸せになってほしい…これもただの私のエゴか。
ポケモンと一緒にいることがNの幸せだとしたら…。





「ついたぞ。もう、プラズマ団はいないようだが…」






くるりと輪を描いてリザードンは再びソウリュウシティに着地した。
プラズマ団の気配はない。






「ジムはあっちだ。行くぞ」






リザードンをモンスターボールに戻して、ヒサキさんは歩を早めた。
やはり、確実にいなくなったというのは考えられないだろう。





「ヒサキさんはなぜプラズマ団のことに詳しいのですか?」

「バル子がプラズマ団に入ったからだ」

「…それは」

「自慢じゃないが、バル子と私はカントーで1、2位を競うほどの力を持っていた。
お互いがライバルで、親友だった。それで一緒に旅をしていた」





淡々と話す口調から、大分前のような出来事に聞こえた。
もし彼女が私と同じくらいの時に旅立ったとすれば…
その話は幾分前のものになるだろう。
ヒサキさんはもう大人だ。
旅に出る年齢と言えば16とか…二十歳前だろう。
ヒサキさんの確実な年齢は知らないけど、見た感じ20を超えているだろう。


ヒサキさんは目を伏せて、続けた。
昔の親友を思い出すかのように。




「だが、ある日バル子のポケモンが殺されてな」

「殺された…?」

「ああ。相手も悪気はなかったようだが、バトル中に、運悪くな…。
それからあいつがおかしくなった。声をかけても反応しないし、なにより笑わなくなった」





先ほどのバル子さんは、笑っていたけれど。
壊れる前の彼女とその後の笑う意味の違いが、嫌なほど分かる。





「そしたら、街中でプラズマ団が演説をしていて…見事にハマってしまったバル子は仲良く犯罪者行きだ」

「…バル子さんを助けようと、プラズマ団を調べたのですか?」

「……あんな奴の為にするわけないだろう」

「でも親友なんでしょ?」

「…」

「親友だからこそ、助けたいんでしょう!?」






ヒサキさんは悲しい目で私を見た後、前に向き直りそれから口を紡いだ。
しばらくの沈黙が続いたが、それをはぐらかす様に呟いた。





「ここが、シャガのジムだ」





真っ黒い大きなごつごつした、建物。
ここにシャガさんがいるのか…。





私たちはジムに踏み込んだ。
後ろの影には、気付かずに。







「"うふふ…"」







愉しそうに、それは笑った。
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