&‐アンド‐

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"行け。ここは私が足止めしよう"





ふと思い出す。
あの言葉。
リュウラセンの塔で会った、声の綺麗な女性。
女の子、いやでも…年上っぽいし…。
綺麗な目ぇしてたなぁ…あれだろ。ヒロインの私を差し置いて本物のヒロインの座を奪おうとしているニューキャラクターとか何とか言ってみる。
まぁ実際は違うんだろうけど。


でもイレギュラーとかってポケモンの世界から見たら私がイレギュラーな存在なのだろうけど。
でも、世の中には道理ってものがあるじゃない?



何かが存在するならそれだけの理由があるし。



運命は必然とか言ったものだね。


というか、そんな事語りたいわけじゃないんだけど。
まぁ、ほら、人間って有りえない様な事が起きると現実逃避するって言うけど本当だね。
冷静になるっていうのもありえる。







「"初めまして私、ガイドのバル子と申します"」







ソウリュウシティに付くや否や、こんな派手な街に不似合いな全身真っ黒いゴシックドレス。
頭には王冠型のヘッドドレスがついており、そこから顔を隠すようにこれも真っ黒なレースが鼻の頭まで垂れている。
そりゃ浮くわ浮くわ。


ドン引きしたよ、私。
ゾロアなんか開いた口がふさがらない。





「"本日は我が社のイベントに参加して頂き、真に有難うございます"」





その用紙に不釣合いな可愛らしい声で、彼女、バル子はマニュアル通りに説明を続けた。
っていうか…ここはアイリスちゃんかシャガしゃん、失礼、かみまみた。
シャガさんが出てきて、ゲーチスの演説を聞くんじゃなかったっけ?


こんなイベントしらねぇよおおおおお!!!
あっても子供びっくりだわよ!!!
つか、変な名前だなオイ!!!カタカナか、漢字か統一しろ!!!




「"まずはあちらでお話でも致しましょう―――白き姫"」

「は?」






…。





「リリィリリィ怖い怖い。顔超怖い」






ゾロアが私の肩でガタガタ震えてる。
よっぽど怖い顔をしていたのだろうか。





「姫?え?ちょ、クサいんですけど」

「"全ての準備は整っています"」

「ギャグで言ってるわけじゃなさそうだね…あなた、何者?」

「"さぁ、あなたを迎えるだけで全ては整うのです!"」

「…何処の会社だよ」

「"全ては、ゲーチス様の思惑"」





その人が徐に取り出したものを見て、反射的に私は駆け出した。
こんな街中、白い髪の私とド派手な格好をした彼女は目立つといったらありゃしない。


彼女が持っていたのは、そう。






王冠だった。





ふざけるな。
何の話だ。まったくもう。ふざけるのもいい加減にしろってんだ。





「"あれあれ、姫。何処へ向かうのですか。逃げ場など無いくせに"」




可愛らしい声で彼女は告げ、次の瞬間。




「"分かっているのでしょう。知っているのでしょう。なのに、そうやって真実から逃げて!"」

「っ!」





ザッ、とプラズマ団に囲われた。
こんな街中で…。
しかも人々は映画かなんかと勘違いしてる。
こんな映画あってたまるか。





「"おやおや、逃げ回るから狼に囲われてしまった"」





クスリ、と。
彼女が笑う声が聞こえた。







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