&‐アンド‐
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「…い」
「リリィ!!!」
私はハッとして顔を上げた。
目の前には心配するアララギ博士がいた。
嗚呼…そうだっけ。
あの後私は博物館に来て、アロエさんとアララギ博士と合流して…。
ライトストーンの話を聞いていたんだっけ。
頭がちょっと混乱してたかな…白昼夢でも見てたのかもしれない。
どちらにせよ、ぼーっとしてちゃ、いけない。
「リリィ…あんまり無茶しちゃ駄目よ?」
「はい。大丈夫です」
ライトストーンは、目の前のガラスケースに入ったまま。
どうにも、頭が痛い。
色んな声が聞こえる…疲れが溜まっているのかな…。
きみ は ないて いるの?
ああ、まただ。
何度も同じ質問を繰り返して。
知らない声が頭の中を何度も何度も叩きつけるかのように繰り返される。
電気石の洞窟で聞こえて以来、時折その声が聞こえる。
疲労のせいにしては、如何せん、しつこい。
でも、その言葉は途切れ途切れに聞こえて。
まるで…何かの中で呟いている様な…。
「リリィ…?本当に無茶は駄目よ?」
「問題ないです。ちょっとボーッとしてただけですから」
「…分かったわ。じゃあ、こっちにきて。ライトストーンを見せてあげる」
博物館の中に入り、ゲームと同じ配置にライトストーンは置いてあった。
「…」
これが、ライトストーン。
ゲームで見たよりも白く、輝いている。
宝石のような、でも高級そうなイメージは沸かない。
きみは 真実を 知りたいのかい?
「!?」
さっきよりも、透明で優しい声音が頭に響く。
誰だ。あなたは一体誰…!!?
「リリィ…顔色が良くないわ……」
「っ…大丈夫です。わ、私は元気ですよっ」
空元気を見せるものの、アララギ博士の心配そうな表情は消えない。
「あ、あのっ!レシラムの事を知るには…ソウリュウシティに行けばいいんですか?そこでアイリスちゃんに話を聞いて…」
「そうね。確かにあのジムリーダーなら…何か知ってるかもしれないわ。行って見る価値はあると思う」
「分かりました」
「じゃあ…これをリリィに」
アロエさんが、ライトストーンを私に渡そうとしたとき。
「リリィ。お前はそれを受け取ったら、Nと戦い、もしかしたらイッシュ地方の人々達の責任全てを担うかもしれん……その覚悟はあるのか?」
…私が負けたら、それで終わり。
ここはゲームの世界だけど都合よくなんか出来てない。
だからこそ、イッシュの人々の責任を私が担う。
負けてしまったらポケモンとパートナーは切り離され、ゲーチスの思うがまま。
Nはあいつの言いなりだ…!あいつが考えてることは全部下劣だ…!!
Nのことも、トウヤたちのことも、私のたった一人の存在が今後のイッシュを左右する。
その覚悟?
そんなもの…
「ありません」
「なっ!?じゃあ、どうして―――」
「私は、友達としてただのライバルとして…Nを止めに行くだけです。イッシュの責任なんか知りません。私は」
それが きみの 答え?
声が、近くに聞こえた。
「Nを、助けに行くだけですっ!!!」
ただ、それだけなんです。
と。私は少し涙声で言った。