&‐アンド‐

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「あの黒い子…ゾロアと逸れちゃったわけね?」

「あ゛い……」

「その原因がアーティとなると…溜め息、嫌でも出ちゃうね!」

「分かるんですか…?」

「あいつはそれなりにモテるから、だいたい予想は付く」



さすがアロエ姐さん。



「で、でも…ゾロア、ぜ、ぜん、全然この辺の事わかんなくて…うぅ」

「ワォン!!」




困っていたその時、ガーディが勝手にボールから飛び出してきた。




「ワンッ!!」

「ガーディかい!!?珍しいポケモン持ってるねぇ」

「私初めて見たわ…」

「……なるほど」

「どうしたんだい?リリィ」

「ガーディは嗅覚にとても優れているポケモンです…ガーディなら探し出せるかも」

「そういう事ね。私達も手伝うわ」

「もちろんだよ!」

「ありがとうございます!」




私は袖で涙を拭うと、しゃがみ込んでガーディの頭をなでる。




「よし…ガーディ、ゾロアを探して」

「ワォン」




ガーディは頷いた。
それから鼻を地面に近づけて、辺りをキョロキョロし始める。
色んな匂いが混ざってるのに良く探せるものだ。


そして、私の頭に1つの疑問が浮かび上がる。
人混みの中じゃガーディも迷子になるかと思ったが。



「お、おい…カミツレさんとアロエさんのお通りだぞ…!」

「よ、避けろ!道を阻むな!!」



二人とも組長ですかwww
そんな疑問はすぐにかき消され、私達の歩く方向によって人々は避けてくれる。
これはこれで逆に目立って仕方ないが。




「…アロエさん。今日、こんな事になってしまったけれど、航空イベントは…」

「止めるわけないさ。5年に1度の大イベントだし…それに本番は明日。明日は何も起こらないことを祈るよ」

「ですね」

「リリィはどうしてそんなに必死なんだい?」

「…何が、ですか?」

「プラズマ団、に対してだよ」

「…」



心中を半ば当てられて、私は少し黙り込む。




「…助けたい、からですかねぇ。正直な所、時々自分自身に「どうして?」と訪ねたくなる時、ありますもん」

「リリィはたくさん怪我をしている。必死で必死になりすぎて何かを見失いそうになってない?」




“勝ち”に対する執着。



『ポケモンが生きていればいいじゃん―――』



トウコちゃんの言葉。




確かに、言われて見ればNしか見てなかった。
だからあんな事になった。


ここは私の住む世界ではない。
でも、ここは現実だ。
全てが真。




「確かに…そうですね」




私は思わず笑ってしまった。
数週間前の自分に言ってやりたい。
勝敗のこだわりなんか、いらないって。




「だから、仲間(ポケモン)がいなくなるとこんなに情緒不安になってしまうかもです」

「ポケモン?」

「あ、いえ―――……ゾロアは、私の大切な仲間、です」




そして。
ここの世界での、大事な家族。




「リリィってそんな柔らかい笑顔をするのね」

「ああ。いい笑顔だよ!思う気持ちが十分に伝わってくるねぇ…」

「えへへ…///」

「!」

「うわっ!ごめんなさい!!」





私と、他の人がぶつかってしまう。
相手は何も言わずに立ち去ったのだが…





「リリィ、前をみなよ?今日だっていっぱい人がいるんだからさ!」

「めんぼくねぇです…」





するとガーディが、突然唸る。
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