&‐アンド‐
□08
3ページ/7ページ
***
見事に橋を渡りきるまで、全員沈黙だった。
ベルも、トウヤもチェレンも私も黙ったまま。
空気悪いよ。悪すぎだよ。
まぁ、何とかホドモエシティに着いたからいいんですけど…
「おい、お前ら!!」
と、ヤーコンさんが話しかけてきた。
…。
薄{物だ!!
やっぱ怖いこの人!!
「お前らプラズマ団を見なかったか?」
「プラズマ団、ですか」
「ああ。お前らがそっちから来たって事は、端の方へは逃げていないと思うんだが…」
「分かりました。私はあっちを探して来る」
「あ、俺は向こう行く!」
「あ、あたしもトウヤに着いていく!」
「…僕は逃げられると困るから、橋の前にいるよ」
「フン。期待してねぇが頼んだぞ」
ヤーコンさんはそれだけ伝えて、走っていった。
やっぱりジムリーダーなんだなぁ…
皆を守るためにね、かっこいいな。
怖いけど。
「さて、行って…って」
私のフードを掴んだまま、チェレンが離さない。
「…チェレン、あの、離してくれないかな」
「リリィ、また怪我するよ」
「大丈夫だって」
「プラズマ団だよ」
「大丈夫だから」
「君はきっと探すんだろう?」
「…誰を」
「Nを」
「…そんな訳無いじゃん」
「探すね。あれだけ、あんな事されても君は探すだろう」
「探さないってば」
「…次は無事じゃすまないかもしれないよ」
「大丈夫だから。だって私にはポケモンがいる」
「…ちゃんと、戻ってきてよ」
頷くと、フードが軽くなった。
くるっと後ろを振り返って、チェレンの両頬をみょーんと引っ張る。
「ひょ、ふぁにふんふぉさ!!(ちょ、何すんさ!!)」
「ばーか。私は実は強いんだよ」
「…ふぉんなふぉお、ふぃっへふふぃ(そんな事、知ってるし)」
「チェレンも気をつけてね」
ぱっ、と手を離して私は冷凍コンテナへと走っていった。