&‐アンド‐

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「っ!!リリィ―――!!!」




景色が、一瞬にして鮮やかな青色へと変わる。
泡が水面を乱し、水ポケモンは私に驚く。
少しスカートがじゃまだったけど、まぁいいか。
下から跳ね橋と島の接続部分を見るとそこには―――




「…!!」




僅かな隙間に、マメパトの巣があった。
これのせいで橋が上げられなかったんだな…
だからミネズミは守ろうと…
水中から顔を出し、巣を取ろうと手を伸ばす。
橋と水中からじゃあ、結構距離があるけど、手を伸ばせば届きそうな距離。
ぐーっと伸ばして、あと少し。




「ギャオォ」

「バスラオっ!!?」




バスラオがわらわらと集まってきた。
私は餌じゃないよ!!!





「痛…!!」




バスラオが噛み付く。
脚を、太ももを、腹を、肩を。
青い海が少し赤く染まる。




「でも…!」




もう少しなんだ。




「ギャオォ!」




もう少し。




「いっ…痛」



もう少し。




「!!」




―――届いた。




「やった…!」




嬉しさで、痛みを忘れる。
丁寧に、慎重に巣を取り、その中を覗いた。
そして私は再び、絶句する。





***





バスラオを何とか振り抜け、海から上がった。
ミネズミとジャローダ達が心配そうな表情でこちらを見ている。
私は苦笑して、ミネズミの前まで行く。
しゃがんで、巣をミネズミに見せた。
そして、ミネズミも私と同じように絶句する。




「チュウ…!」

「君たちはこれを守ってたんだね。だけど…もう、遅かった」




巣の中にはマメパトの卵が割れていた。
もう乾いていて、良く分からなかったが。




「ごめん…ごめんね」

「チュウ…」




ぽて、とリーダーらしきミネズミはその場に尻餅をついた。
しばらくは唖然としていたが、キッとこちらを見て立ち上がった。
少し、涙目になりながら、私の足をぺちぺち叩いた。




「チュウ!」

「ごめんね…ミネズミ」

「チュウウ!!」




それは違うよ、と言っているかのようにミネズミは首を横に振った。
寧ろ、私の怪我を心配してくれているようだった。
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