黒の祓魔師

□第2話
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***



魔法円・印象術




「これから悪魔を召喚する。図を踏むな。魔法円が破綻すると効果は無効になる。そして召喚には己と適切な呼びかけが必要だ」

『あの先生俺とキャラ被りしてるー』

「悪魔なんて…油断したら、向こうが襲ってくる。俺らとあいつらは犬猿の中なんだから、さ」

『…いや、そんな穏やかな言葉で済む様なものじゃないと思います』




先生は右手の包帯を解き、血を魔法円に垂らす。



「“テュポウエスとエキドナの息子よ”“求めに応じ”“出よ”」




魔法縁から黒い手が伸びてくる。
そして屍番犬が出てきた。




「悪魔を召喚し、使い魔にする事が出来る人間は非常に少ない。悪魔を飼いならし強靭な精神力もそうだが、天性の才能が不可欠だからだ」

「げ…げぇっ…!硫黄くさ!!」

「あれ屍番犬か…」

「今からお前たちにその才能があるか、テストする」

「?」



先生は一瞬燐とサクの事を見たが、すぐに視線を逸らした。




「先ほど配ったこの魔法円の略図を施した紙に、自分の血を垂らして、思いつく言葉を唱えてみろ」

「“稲荷の神に恐み恐み白す”“為す所の願いとして成就せずという事なし”」




白狐を2対召喚した少女、神木は誇らしげに言ってみせる。




「白狐を二体も…見事だ。神木」

「すごい…出雲ちゃん…私全然ダメだ…」

「当然よ!あたしは巫女の血統よ!!」

「あかんセンスないわ」

「僕も」

「うわあああ!あたしも!!お、おいで〜おいで〜……なんちゃって」




ポンッ!




『ニー!!』




しえみからは小さい緑の生き物が出てきた。




「それは緑男の幼生だな。素晴らしいぞ。杜山しえみ」

「!!」

「…!?こ、こんにち」




ぴょん、としえみの頭にすりよる。




「うわああ…えへへ」




肝心のサクはと言うと。
まだ召喚していなかった。もしもこれで本物の死神(ナカマ)呼んじゃったらどうしよう、とか紙を見ながら思った。





「…黒葛」




と、ネイガウスがサクを呼ぶ。
何ですか?と笑顔で振り返ると、目の前に一枚の用紙を差し出された。




「入学当初のアンケートだ。お前は途中から転入してきたから、書いていなかっただろう」

「そうですか、ありがとうございますっ!」





サクはにっこりと微笑んだ。
その表情を見て、ネイガウスは少し眉を潜めたのだった。









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