20万Hit企画

□4月1日
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すぐにいつものように対人練習が始まった。





いつもと気をつけなきゃいけないのは、ウィッグが落ちないようにすること。
クラスの女子が手伝ってくれたから、かなりしっかりしているとは思うんだけど…。
気を抜くことは出来ないなぁ。






「いくぞ」

「お願いします!」





足を竜化させ、襲ってきた相澤先生を避ける。
すぐさま背後に回り、右手を竜化させて攻撃を仕掛けるも―――



先生が足払いをし、私の体制を崩す。
ぐらりと倒れた所で先生の右腕が腹部めがけ飛んできたが。




「…!?」

「チッ…」




それは私の身体に当たることなく、空を切った。
先生、今どこを殴ろうとして…?
とにかく一瞬の隙が生まれたので、私は距離を取った。





「…?」





どこか、先生の様子がいつもと違う気がする。
焦っているような、集中力が乱れているような…。
けれど先生はその思考を断ち切るように、突っ立っている私に向けて捕縛武器を飛ばす。
その場で地面を強く蹴って、高く飛び上がる。
そのまま翼を広げて相澤先生目がけ急降下。
先生は捕縛武器を戻す也、すぐさま空中にいる私にそれを向けるが。




「!」

「クソッ…!」





捕縛武器はあらぬ方向へ飛んでいき、私から逸れた。
私は珍しく何度も隙が出来ている相澤先生目がけ、容赦なく足を振り下ろした。
が、それも両腕を使われて防がれる。
そのまま体術戦に持ち込み、攻防戦が続く。
相澤先生の格闘術には敵わないのだが、今日はやっぱりいつもと様子が違う。
私は相澤先生が後ろに下がろうとしたので、そのまま回し蹴りを食らわせた。
すると、先生が防ぐより先に体にヒットする。




「っ、先生!?」





そんなに力を入れていたつもりは無かったのだが、先生はそのまま地面に倒れた。






「先生、今日どうしたんですか…?」

「…」




相澤先生は地面に倒れたまま、動かない。
どうしよう、どうしようと心ばかりが焦る。
他の先生を呼ばなきゃ、と思っていると。





「…柳崎、いるのか?」

「っ、先生何言って…私はここに………!!!」

「悪い…視えないんだ…手を貸してくれるか?」






視えない…?




どうして?なんで急に?
辺りどころが悪かった?いや、そんなわけがない…!!
私は相澤先生の身体を支えながら、とりあえず倒れている姿勢から起き上がらせた。



相澤先生は目こそ開いているも、焦点があっていない。




「り、リカバリーガール、呼んできます…!」

「いや、その必要はない」

「え…?」

「…前に、雄英襲撃されたことあっただろ?あの時の傷が思ったより深くてな。
やっぱり目をやられてたらしくて…徐々に目が見えなくなるって診断された。
最近視力が低下していたが……まさか急に来るとはな」

「…いや、それ嘘ですよね!だって今日エイプリルフールですもん!!
じゃあこれで補習終わりってことで!先に上がりますね!!」






私はすっと立ち上がって、その場を去る。
演習場を出て、陰からこっそり覗いてみたが相澤先生は未だその場に座り込んだまま。
…嘘じゃない?


え?本当の話?




私はあまりにもいたたまれなくなってしまい、相澤先生の元へすぐさま戻った。












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