20万Hit企画
□4月1日
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放課後。
一足早くいつもの演習場に来ていた。
相澤先生はまだ来ていないから、きっと帰りのHRが長引いているんだろう。
私は少し相澤先生が来るのをドキドキと緊張感を溢れさせながら待っていた。
なぜなら、そう。
今日は4月1日であるのだ!!
つまりはエイプリルフール。
嘘をついてもいい日。
いつもいじめられている(?)から仕返しをしてやろうと思って準備をしていた。
それにはマイク先生や13号先生にも協力してもらって、とあるデマを相澤先生に流してもらったのだ。
性転換の個性を持つヴィランが市街地に現れたと。
既にそれはヒーローによって確保されたが、未だ人々の性別が元に戻っていない状況だということ。
…っていう設定。
それを相澤先生がいない間、職員室で話していればオールマイト先生も面白そうだね、なんて言いながら混ざってきたのだ。
強力な助っ人、オールマイト先生がこの嘘に参加してくれるということで、ヴィランの確保役はオールマイト先生に。
それを先生方に噂話として職員室で相澤先生に語ってもらっていた。
普通科には相澤先生は来ないし、今日一日教室にずっと籠っており、出る際には細心の注意を払った。
そして今に至る。
先生方の協力により、お膳立ては済んでいる…。
後は私の見せ所!!
ということで。
「男装…バレないかな…?」
長い髪はウィッグに仕舞い込み、服装は体操服なので問題ない。
ただ、ちょっと服にも仕込みをしてある。
肩幅を大きく見せるために少し工夫を加えたり。
声の低さは大丈夫なのかとマイク先生に心配されたがそれも問題ない。
竜の個性なので、実は低い声も出せれる。
ほら、竜って常に唸ってるじゃん?
これでばっちり。
今か今かと待っていれば、ようやく相澤先生のご登場。
大根役者みたいにはならないようにしないと…!
「…お前、柳崎か?」
「は、はい…!」
「……その恰好どうした?」
「き、昨日…ヴィランの戦いに巻き込まれて、性別が男になっちゃったんです…」
「…」
前面には出していないが、少し驚いている様子だった。
それからすぐに目を細めて、相澤先生は口を開いた。
「今日の補習は止めとくか」
「いえ。大丈夫です。性別が変わっただけですし、個性になんら影響はありません」
「…分かった」
なんだろう、テンションが低い?
もしかして…相澤先生、女子と二人っきりで補習授業出来るのが最近の楽しみだったとか…?
いや先生に限って絶対ありえないわ。
ナイナイ。
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