20万Hit企画

□能天気ガールは、明日頑張ります
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***









放課後―――






「お茶子ちゃん、三奈ちゃん、切島君に峰田君…私のせいでごめんね〜」





演習場に呼ばれた私たちは、相澤先生が来るのを待っていた。




「お前謝る気ねぇだろそれエエエ!!!!」




あくびをしながら言えば、峰田君に怒られた。
下からガン飛ばしても怖くない。
だからもう一度あくびをする。




「気にしてないから大丈夫だよ!今日頑張ろうね!!」

「いつも由紀ちゃん頑張り過ぎて授業中に寝ちゃうもんね。たまには休憩しないと!」

「ありがとう。でも昨日はちょっと失敗失敗。今日の私は本気だよ〜眠いけど」

「本気に見えねぇんだけど!!!?」




眠いのかい!って峰田君にキレの良いツッコミを入れてもらう。
すると相澤先生がポケットに手を突っ込みながら歩いてきた。




「よし。全員揃ったな。昨日と同様、俺を制限時間内に捕縛したら勝ち。出来なかったら負けだ。
逆に俺がお前ら全員捕縛しても、それはお前らの負け。いいな」

「いつになく先生から殺意がすごくねぇか…?」

「なんであんなにやる気なの…!?」

「ハイ、スタート」

「「「「「!!!!」」」」」






相澤先生は気怠そうにスタートの合図を出すと、すぐさま切島君に襲い掛かる。
捕縛武器は使わずに、体術で切島君を制しようとした。
私は瞬時に切島君の背後へ回り、背中に触れる。




「!」

「っ、スキルアップか!」




切島君は体をより硬化させ、相澤先生を防いだ。




「たああっ!!」




その隙に三奈ちゃんが相澤先生に向けて攻撃を仕掛ける。



「遅い!」

「わわっ!?」




しかし、相澤先生の捕縛武器によって三奈ちゃんが捕まってしまう。
そのまま三奈ちゃんは手錠をされ(先生どこにしまってたんだ?)身動きが取れなくなってしまった。
瞬時に峰田君が頭のそれをもぎとって先生に投げつけるが、単調な攻撃は先生には通じない。




「峰田君、手!」

「わ、分かった!!」




峰田君が投げるのを止めて、こちらに手を伸ばす。
しかし。





「させねぇよ」

「っ!」




相澤先生が標的をこちらに変えた。




「お前みたいなやつが実戦だと狙われる。
まずは供給元を絶たねぇと、ヒーローが力を倍にして襲ってくるからな」

「うわっ!?」





相澤先生が捕縛武器を飛ばし、私の腕を絡めとった。
マズイ―――と思うのも遅く既に先生は私の目前まで。


殴られる、と思ったがここで引くわけにはいかない。
私は防御の姿勢をとるわけでもなく、掌を自身の胸元に当てた。




「!」

「女子の顔…本気で殴りやがりましたね…」




顔に痛みが走ったが、構わない。
口の中に鉄の味が広がっていくが、構わない。
鼻血が出ようが、構わない。
















なぜなら、相澤先生を捕まえたから。







殴った方の腕を掴んで、私はニヤリと笑う。









「あなたの、負けだ」

「―――!(コイツ…!!)」





先生だったので、微塵も遠慮せず掌底を本気で鳩尾に打ち込んだ。
一瞬相澤先生が怯んだので、その隙をついて足払いをし、身体が宙に浮いた瞬間、回し蹴りをして、先生を地面に強く叩きつけた。
そのままうつぶせの状態にさせ、動けないように体を組み敷いた。
腕を稼働しない方向へ押さえているので、私が力を入れれば脱臼間違いなし。




「ぜぇっ…ぜぇっ…」

「柳崎一人で捕まえたのかよ…お前意外と強いのか…」

「わた、しの…個性は…みんなの能力を上げることができる…でも…それは自分も対象…」




肩を揺らして強く呼吸をする。
相澤先生を倒すためには、個性をかなり使用しないといけなかった。





「せ、先生…これで満足ですか…」

「詰めが甘い」

「うっ!?」




相澤先生はどうやったのか、身体全身を使って私を振りほどいた。





「きゅう…」





その際に、私は頭から地面に落ちた。
ただでさえ急激に弱体化していたせいで、この地味な一撃に気を失ってしまった。





「っ、柳崎!」

「由紀ちゃん!!」






あとは、積み重なった自主練のせいかもしれない…。





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