20万Hit企画

□能天気ガールは、明日頑張ります
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「…い」

「むにゃ…」

「おい、柳崎」

「白あん…焼きそば…中華ラーメン……」

「柳崎」

「フランスパンに白あんだと…?それは解せぬ…」

「いい加減に起きろ!!柳崎!!!」

「はにゃっ!!?痛いっ!!!!」





心地よい夢を見ていたような気がするのに、誰かの手によって頭を叩かれ現実に引き戻された。
はっとして顔を上げれば目の前には明らかな怒りオーラを出している相澤先生の姿があった。
なんで先生は起こっているのでしょうねぇ?
寝起きだったのでイマイチ頭が正常に働かなかったが、左右をきょろきょろ見渡す。





「俺の授業で爆睡とは度胸があるじゃねぇか」

「んにゃ〜それほどでも〜」

「褒めてねぇよ」




あはは、なんていえば相澤先生は溜息をつく。
ああ、そうだそうだ。相澤先生に言われて思い出した。
今は実技授業の途中だった。
各グループごと分かれてそれぞれのヴィラン役のヒーロー達との勝負という最中だった。
私のグループは……



あれ?




「お前以外全員俺に捕獲されたよ。ったく…これが実戦だったらどうするつもりだったんだ」

「んにゃあ、私はここで待機って言われたんで」




野外地を想定とした演習場で、私は小影に隠れて昼寝をしてしまっていたようだ。
案の定、サボってしまったためにどうやらみんな捕まってしまったみたいね。




「だからと言って寝る奴がどこにいる」

「眠いから寝ただけです」

「本能に忠実かお前は」

「ふわ…」

「相当眠いみたいだな。いいだろう。後日特別授業をしてやる」

「うわ〜い!やったぁ」




棒読みである。





「連帯責任として、お前らのグループだ。いいな、サボりでもしてみろ。お前を除籍処分にしてやる」

「きゃー!怖い!」

「…やる気あんのかお前は」




ふざけて先生をあしらっていれば、そろそろ怒りパロメーターがMAXに到達したのか、明らかな怒気を含む声で私に告げる。





「ここはヒーロー科。お前みたいなやる気のねぇ奴がいていい場所じゃねぇんだよ。
そもそもお前本当にヒーローになる気あるのか?」

「何を仰いますか、相澤先生。あるからここにいるんですよ〜」




気の抜けた声。
さぞかし相澤先生にはやる気のない生徒に見えるんだろう。





「柳崎。次同じ真似してみろ。この学校から追い出すからな」

「へいへい〜」

「柳崎…!」





私は「よっこいしょォ!!」と女子らしくもない声を上げて立ち上がる。
両腕を空に伸ばして、硬くなった全身の筋肉を伸ばす。
それから相澤先生の目を見て微笑んだ。





「除籍処分行きは困りますので〜頑張りますねぇ」





ひらひらと手を振って、私は集合場所へ向かった。
本当に眠いけど、そろそろ自制しなきゃかなぁ…。




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