20万Hit企画

□悪魔の3日間
2ページ/5ページ
















***









「…」

「…」






深夜0時。
私はイレイザーヘッドに指定された場所に来ていた。
そこには既にイレイザーヘッドと思わしき男と、夜中でもわかる特徴的なヘアスタイルをしているボイスヒーロー、マイクの姿があった。
私はイレイザーを目にした瞬間、お互いに硬直した。




私達は、会ったことがある。




私はこの顔を忘れない…!!


なぜなら、依頼メールが来た時に歩きスマホをしてぶつかった男性そのものだった。
衣服も全く同じ。洗ってるのかな?
いや、単にスペアを複数持っているのだろう。




「お前、あん時の…」

「Hey!Girl!まさかフェンリルの正体がこんな小さな少女だとは思わなかったぜ!!」

「エンデヴァーさんからのお手紙も届いていると思いますが、これは機密事項でお願いします。
私の正体がフェンリルということは特定人物の身にしか明かしていない事柄です。
軽率に私がこの姿でいる際はその名を口にしないよう重々お気を付けくださいませ」



夜中だというのにも拘らず、マイクは元気に言うものだから少し口調を強めにして警告した。
さすがにマイクもそれは分かっているようで、口元に人差し指を当てて、静かにするよアピール。
大丈夫かなぁ…この人。




「まさかお前がフェンリルだったなんてな…」

「私もお説教おじさんがイレイザーだとは知りませんでした」

「おじっ…!?」





マイクは吹き出しそうになった口元を必死に抑えてる。
何だろう。初対面の時からこの人と会っただけでイライラしていた。



油と水?


顔を合わせただけで、この人とは馬が合わないなって思った。





「お前も年配者には口の利き方には気を付けろよ。
躾のなってねぇ犬ほどお仕置きの数は増えるだけだ」

「へぇ?年寄こそ最近の若者はマナーがなってないとか言いますけれど、年配者だからといって天狗になる人が多すぎる気がしますね。
次世代に配慮をすべきではないでしょうかね。
そういう大人を見て今の子供は育つのですから、教養のなってない犬どもがわんさか溢れるんですよ」

「お前…」

「なんですか?解雇ですか?そうやって権力をかざせば尻尾を巻いて逃げるとでもお思いで?
私はこんな口論よりはさっさとヴィラン捕まえたほうがいいと思うんですけどね」

「ヘイヘイヘイ!!フェンリル!ちょっと言い過ぎだぜ!」

「それはどうも―――失礼しました」





つい口走ってしまったのだ。
勿論心の底から謝るつもりなんて毛頭もない。
私は明らかに嫌悪の表情を浮かべているイレイザーに向かって、にっこりと微笑んだ。





「あぁ、あとそうですね。一つ覚えておいて頂きたいことがあります。
私は犬ではなく、狼です。そこを履き間違えて取り扱うと―――怪我しちゃうかもしれませんね?」











.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ