20万Hit企画
□スウィート・ビーチ
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「海行くぞ」
いつものように学校の帰りに相澤邸へ寄り、ソファで先生の帰りを待っていたところ、本人が帰宅するなりそう切り出したのだ。
私はソファから立ち上がって、先生の傍へ歩み寄った。
「風邪でも引きました?」
「馬鹿言え。正常だアホ」
「馬鹿かアホかどっちかにしてください!」
先生らしくない。
心の底から思ったのだ。
かれこれ付き合って2年は経つと思うのだが、未だに先生の考える事には想像もつかない。
来年は卒業だし、遊ぶ暇があるなら勉強しろ!なんて言いそうなんだけどなぁ…。
「…たまには息抜きも必要だろ」
「とか言って実は水着が見たいだけとか!なんちゃって!」
「…」
「あれ?図星でした?」
「…」
「あら?あらあら?」
「うるせぇ追い出すぞ」
「先生って案外ムッツリさんなんだから〜裸が見たいなら、今夜にでも…あだっ!!?」
「100万年早ェよ」
相澤先生に頭を叩かれる。
でもまさか相澤先生から海に行こう、だなんてさそってくれるとは思わなかったな…!
これはもしや、海でアピールのチャンスかな?
「いくのか。行かねぇのか」
「勿論行きますとも!!喜んで!」
二つ返事で了承。
すると相澤先生はほっとするように、肩で息を吐く。
まさか私が断ると思ったのだろうか…?
「断るわけないですよ?相澤先生からのお誘いですもの」
「…あー、いや」
「なんですか、歯切れの悪い」
「一応お前が高校卒業したら、ちゃんと夜の方でも付き合ってやろうとは思ってるが…。
案外、嫌がるんじゃねぇかなって思ってよ」
「…」
「…なんだよ」
「このムッツリさんめ!!!!」
うりうり〜と言いながら、けれども唐突な先生の大胆告白に顔を真っ赤にしながら腹を殴った。
「いやん!相澤先生のハレンチ!今からでも私はオッケーなんですよ!」
「馬鹿。お前に手ェ出したら犯罪だろうが」
「たかが1年の違いでどうもこうもならんとも思うよ、私はね」
「そういう問題じゃねーよ」
「そういうことなら任せてください!とびきりの水着を用意します!!」
先生に鼻血吹かせてやりますからね!と指をさして言う。
すると苦笑しながら先生は「人に指をさすな」と優しく指摘した。
俄然燃えてきた…!!
ん…?
待てよ?
「ってことは、先生の欲求不満を晴らすために正攻法で行こうって話ですか?」
「本気で怒るぞ」
「ごめんなさい」
怒られた。しょぼん。
「ヒーロー本試験に向けて勉強してるのは良く知ってる。
さっきも言ったが、単に気分転換だ。そういう目的じゃねぇよ」
「ピュアか」
「あ?」
「ごめんなさい」
つまりは、相澤先生の気遣いで。
私は素直にその好意に甘えようと思う。
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