20万Hit企画

□理想のWedding
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***











結婚式当日―――









「綺麗ですね」

「綺麗にお化粧してくれたおかげですよ」




私は今、部屋で真っ白なウエディングドレスに身を包んでいた。
煌びやかな衣装を身にまとっているだけで、私はこれからの本番に胸が高鳴って仕方がなかった。



…緊張する。



それが衣装さんにも伝わったのか、鏡越しで衣装さんがくすりと笑みを零した。




「いつものように、人々を救うように。笑顔でいればいいんですよ」

「ありがとうございます」

「口紅をおつけしますね」

「あ、口紅は自分でつけます」





私は机に置いてあった化粧ポーチから一つの口紅を取り出す。
メーカー品としては二流。
決して有名ではなく、これは母が私の成人式の際にプレゼントしてくれたものと同じ品。
それから、相澤先生と付き合うきっかけにもなったもの。

だからこそ、だからこそ、だ。


これは自分でつけたい。



「思い出の品か何かですか?」

「そうなんです、これは―――」

































「由紀ちゃん!!!!!」













今まさに、衣装さんに成り行きを話そうとした時。
梅雨ちゃんが勢いよく部屋に飛び込んできた。
友人代表として一人だけ、と相澤先生を説得して、梅雨ちゃんを招待したのだが―――
浮かべるその表情は決して笑顔ではなく、緊迫した表情を浮かべていた。
それを見て、私は瞬時に察した。




何かが、あったのだと。




私は口紅を持ったまま梅雨ちゃんの元へ駆ける。





「相澤先生が―――」

「!」

「ヴィランに誘拐されてしまったわ」

「っ!?」





恐れていた事態が、起きてしまった。





「っていうか誘拐するのそっちなの…!!!?」





花嫁じゃないの普通!!?
なんて叫べば梅雨ちゃんは冷静に「相澤先生の方がヒロインっぽいってことかしら?」なんて言われてしまった。

つまり花嫁は相澤先生だった…?

なんてプチパニックを起こしていれば梅雨ちゃんは「冗談よ」と言っていた。
割と余裕はあるようだ。
既に応援は向かっているのだろうか。


私は大事な花婿を奪還しなければならない。


せっかくの結婚式。
邪魔されるわけにはいかない!








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