ダイビング!

□vol.4
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『おいおい第一関門がチョロイってよ!!んじゃ第二はどうだ!!
落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーール!!』




次の第二関門は綱渡りだった。
それぞれの個性を活かせる場で、A組を先頭にサポート科…と順に続いていった。
一旦呼吸を整えてから、心操君を見た。



「いいなぁ…」




ガシッ




そう呟いてる心操君は、笑っていたけど。
私にはそれが自虐にしか見えなかった。

心操君の腕を掴む。



「お客様、これより急下降・上昇を伴います。激しい揺れにご注意くださいまし」

「由紀…!」



ニッと笑うと、掴んだ腕を離さずに、私達は谷底へと飛び込んだ。



『おっとお!!?穴に落ちていった奴がいるぞ!!?おい大丈夫かこれ!!?いいのかこれ!!?』




上からの騒ぐ声が聞こえる。
落ちていく中で、空を蹴るとエレベーターの如く一気に急上昇していった。
バッと穴の底から飛び上がった姿に、観客も、生徒たちも、実況のマイク先生ですら言葉を発していなかった。



『…ク、クレイジイイイイイイ!!!!!なんてこった!!
こんな飛行の個性を持つのがいたのは驚きだアアア!!!!」




飛行の個性じゃないんだけどね、と笑っていると心操君が愉快に告げた。




「普通科だって馬鹿に出来ねぇことを示してやれよ、由紀」

「これからもっと目にもの見せてあげる」




そのままスイーッと飛んでいき、第二関門を突破する。
マイク先生の実況によると、既に先頭は第二の関門を突破しているようだった。
私達もそれを追っていくと、ただり付いた先は開けた大きな広場。
だが地面の下には地雷が埋まっている。
さっきマイク先生が力説していたからよく見れば地面に埋まっていることが分かるそうで。
でもじーっと見ながら走るわけにはいかない。


かと言って飛行もあまり使えない。
翼が無い分長時間の飛行は体力の消耗が激しい。
ここまで来て息切れがかなり酷い。
全力でグラウンドを突っ走ったような感覚。
でもここは翼を出すまでもない。



「心操君、ここは飛べない。ラストスパートだし、なんとか…って!!?」




今度は心操君が私の腕を掴んで走り出した。



「前の奴らの後ろを追えばいい。俺が前を見るから、お前は気を張るな」

「あ、ありがと…!!」



前を行く生徒たちの後ろを走れば問題ない。
それにさっきの飛行で順位も上に上がってきているからそこまで急ぐことは無い。
この序盤でまだどんでん返しは来ないだろう。
最悪、私が飛べばいい話。今はまだ、最下位じゃなければそれでいい。




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