ダイビング!

□vol.2
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「綺麗な顔だなぁ…そういうのゾクゾクする…」

「馬鹿言わないでよ。こっちはピンチなんだから、さ!」

「!」



死柄木の懐に拳を打ち込もうとしたが、それも手で防いでしまう。



「その綺麗な顔が崩れるの、すげぇ興奮する」

「っ!」




ばきっ




顔の皮膚が崩壊する音。
バラバラと砂のように零れていくそれは。



「崩れてない…?」

「あんたが崩したのは鱗だッッ!!」



崩れていない肌を見てポカンとしているうちに、お腹に全力で足を打ち込んだ。
手加減はしなかったから、そうとう効いているはずだけど…
吹っ飛ばされた死柄木はお腹を押さえて、地面にしばらく伏していた。

顔を竜化により近づけたので、顔半分が鱗で覆われる。
心拍数が徐々に上がってくるのを感じて、あまり時間が無い事に気が付く。
身体の80%以上竜化させてしまうとそれは制御できなくなる恐れがある。



「くそっ…痛ェ…おい、脳無!!」

「!」



ゴキゴキッ、と再び嫌な音が聞こえる。
何かと思えば脳無の腕がぐるんと一回転して、元の形に戻っているではないか。ホラーかよ。
なんだこれは?超再生の個性なのか…!?



ガンッ!!



「いっ…!」



頭を強く殴られる。
だが地面に倒れるわけにはいかない。
後ろには、ヒーロー科の子達と、先生がいる。



「っ、うぐあぁっ!!」



脳無の攻撃ラッシュは止まらずに、何度も拳を打ち付けてくる。
咄嗟に皮膚を竜化し、攻撃を凌ごうとするも、あまりにも重い攻撃に耐えられず、そのまま地面に倒れてしまった。
嘔吐感を覚えて吐き出してみれば、それは大量の血。
臓器をやられたか、なんて達観していれば脳無が私の頭を鷲掴みにする。
そのまま持ち上げられて、宙ぶらりんの状態にされた。



「どう?君一人じゃやっぱ無理だろ。
弱いクセに、ヒーローぶっちゃって。可哀想に」

「……、」

「君みたいな個性、こんな所で潰すの勿体ないなァ…ねぇ、君さ、ヴィラン連合に入らない?」

「…は」




何を言っているんだこいつは。
意識がもうろうとする中で、私は口を動かした。




「…ばーか」

「…脳無、殺せ」

「!!」




頭を、強く握られる。
徐々に力が強くなってきて―――


死を、覚悟した。






―――バァンッ!!!!





ピタリ。
脳無の動きが止まった。
入口の方で爆音が聞こえ、何かと思い視線のみを入口に向ける。
そこには。




「もう大丈夫。私が来た!!」




平和の象徴、オールマイトがそこに立っていた。
その姿を見ただけで私は安堵し、深く深呼吸をした。


これで…助かった。


そう思うだけで全身の力が抜ける。
私にしては、よくやった方だ。

まだ敵に掴まれてると言うのに、安堵してしまった私は、そこで意識を手放してしまった。




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