青天の霹靂

□Ride.8
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6月―――








入学当初ほどのバタつきは既に無く、俺を初めとした1年生は皆学校生活に慣れていった。

あの騒動からもう1か月近く経つのかな?




腕は完治。
久しぶりに乗ったら、それはほんっと楽しくて。







土曜日の午前中。
国道を走りながら、空を見上げた。



もちろん休みの日なんかではない。



今は部活中。
けれども周りはとても静かで、走るには絶好の機会だ。



ただ、俺一人で走っているわけじゃなくて――――




「湊、これ食うか?」

「っ、ありがとう…ございます…!!」





新開さんの後ろを走っているが、何分3年生だけあってその実力はけた違い。
少し下がってきて、俺にパワーバーを渡してくれた。


多分俺に合わせて走ってくれてると思うんだけど、それでも俺はついていくので精一杯。
さすがはって言ったところ。





「今日は天気もいいしな…よし、休憩しよう」

「でも、福富さんがっ…」

「いいって。無理すんなよ」





腕が治ってから福富さんに言われた言葉―――
それはひたすら上級生と走ること。
それから俺に課せられたものは、3年生を…新開さんを抜くこと。
とんだオーダーだとは思ったけど、福富さんはその日のうちにやれとは言わなかった。
多分、3年生が引退する、その時まで。
それが期限。

実力のある人と走った方がいいのは、俺もその方が効果的だと思う。





近くの自販機の前で止まる。



カラッカラになったボトルを眺めながら、ジャージから小銭を取り出した。


あっ、まだ学校指定ジャージですけど何か?
世の中甘くないんですよ。



スポーツ飲料を買って、ボトルに入れ替える。






「湊、自転車用品そろえないのか?」

「…いまいち、俺わかんなくて…」

「じゃあその可愛い彼女に合った服を探さないとな」

「!?」





思わず、ドキリとしてしまった。




彼女というのはこの、オルベアを指していて。





「自転車の色とサイジャの色の組み合わせで結構変わるもんだぜ?」

「そう、なんですね!オルベアのメーカーの商品も見てみたいです!」

「それじゃあ湊今度の休みにオススメの自転車ショップ紹介してやろうか?」

「!」





その言葉にぱぁっ、と顔を明るくさせた。
それはとてもありがたい!






「いいんですか?それじゃあ、ぜひ!!」

「それじゃあ、残りの半分のメニューぶっ飛ばすぜ」





バキュン!




…と、格好良く決めた新開さんだったが。
俺としてはそれは非常にマズイ状態で。





この後吐くほど走らされることになった。
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