青天の霹靂

□Ride.6
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天気は曇天。
確か今日の天気は雨―――





渡り廊下から見上げる空は今にも雨が降り出しそうだった。



雨は、嫌い。





憂鬱になる気分。
溜息をこぼしながら、左手で持っていたゴミ箱をさっさと焼却炉へと運ばなければ。
雨が降ってしまったら濡れてしまう。




下駄箱で靴に履き替えて、外へ出る。
焼却炉は裏の―――





「あったあった」





扉を開けて焼却炉にゴミをブチ込んだ。
これも大分古い。

確か先生はこれをもうすぐ壊して、別の場所にゴミ置き場を作るといっていたな。





さてと、教室に戻ろう。
くるりと振り返ると。




「ひぎゃっ!!!?」

「…人の顔見て言うセリフか?」





福富さんがゴミ箱を4つ抱えていた。
真後ろにいたものだから、思わず驚きの声を張り上げてしまう。
失礼だな。でも驚いたのが正直。





「…すみません」

「…」





福富さんは黙ってゴミを捨てた。
その時に一つゴミ箱が落ちてしまったので、拾い上げる。





「どうして」





ふと、俺は言葉に出していた。





「どうして俺を「退部させなかった、か?」





福富さんはこちらを向いた。







―――あ。





目が、初めて合った。
今までこうして、目が合うことはなかったのに。






「一つ聞いていいか?」

「はい」

「なんでお前は、黙っている?」

「―――え?」

「普通、謝るなり、否定の言葉なり、事故だのと言うだろう。
なのに、お前は一言も喋らなかった」

「…」

「なぜだ?」

「なぜって…そんなの…」

「…あの時間帯にコンビニに生徒がいてもおかしくない。
だが、あの日コンビニは改装中で店を閉じていた」





俺はその言葉に顔を上げた。





「…だから、どうなるっていう話だがな」

「福富さ…」

「たまたまあそこにいたのかもしれない。
俺はお前を疑っている。俺はお前がやったと思っている。お前が悪い」

「…」

「だが、このままだとお前もあの時の俺の様になってしまう気がして―――」





なってしまう、気がして?




その口ぶりはまだやり直せるとでも、言いたげで。
この人は一体…。



それにあの時の俺?





「…あそこにいたのはお前だ。
ならばお前がやったと、なぜ言わない!!?」

「"はい、俺がやりました"」

「!」

「…っていえば、満足ですか?」

「言わないだけの理由があるのか?」

「……福富さん」





口一文字に引き締めて、俺は福富さんを見上げた。




目と目が合って。
逃げ出したくなる衝動に駆られるけど、こらえて。





「俺は藤本の服を引っ張ってなんか―――」



































「天津、何してるの?こんなとこで」










頭を強く打ち付けたような衝撃が、走った。
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