青天の霹靂

□Ride.3
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学校についてからは、ウトウト眠くなってしまって、今日一日ロクに授業を聞いてなかった。
これじゃあマズイとか思いつつも、眠気には勝てなくて。
それを繰り返してたら夕方になっていた。






「スプリンター?」





部室では先輩達が練習している合間に俺たち下っ端はボトル作ったり準備したりしていた。





「うん。まだわからないけど。
もしかしたら湊君直線の道が好きそうだなって思って」

「…山はちょっとキツかったしな」

「うーん山一緒に勝負したかったんだけどなぁ」

「おい1年喋ってる暇あったらさっさと次ぎの仕事しろ!」





2年の先輩に怒鳴られる。
やば、と思いつつボトルを片づける。



一週間後。



レースがあるからと言って、そう簡単には自転車に乗らせてくれないようだ。
基礎練習、基本的な運動、筋トレ。ランニングといったメニューをこなす。




はたして初心者の俺ができるのだろうか?




一抹の不安がこびりついて離れない。





真波君に言われたけど、初心者な分、俺はたくさん練習しなきゃいけない。
だから部活以外で夜と朝。
自転車に乗って走るしかないって。





自主練みたいなもの。




「難しいな…」





ぽつり、と呟くと誰かに腕を引かれた。
なんだ!?と思えば。





「荒北さん…?」

「ちょっと来い」





腕を引かれながら、部室を出ていく中荒北さんの練習中断に皆が驚いていた。
荒北さんは主将福富さんのアシストらしいので、練習は普段そうめったに練習を中断することはないらしい。
でも今じゃなくても!と胸中叫びながら、外に出た。






「お前、本気で言ってんのか?」

「え?」

「お前は本当についていけると思ってるのかヨ」

「何、を…言ってるのか、分かりません…」

「バカチャンが!!!俺が言ったのはあくまで安住を退かせるだけだ!!
お前は他人が決めた部活に入ってたのしいのかヨ!」






荒北さんは不機嫌そうに言った。





「…でも、」

「ア?」

「俺は後悔してないです」

「…チッ」





結果オーライですかね、といえば荒北さんはそれ以上は何も言わずに練習に戻った。




本当に後悔してない。
成り行きみたいになってしまったけど、自転車に一度乗ってしまえば。




一度ペダルを回してしまえば。





もう一度。
ペダルを回したくなる。
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