青天の霹靂

□Ride.2
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一日学校で考えてみたんだけど、そもそも自転車競技部って何だろう。と。




よく知らない部に入れと言われても、意味のないことだ。
それに荒北さんの言葉。



下駄箱に上履きをしまいながら、靴に履き替えた。
台風もいつの間にか過ぎ去り、ここ何日か晴天が続く。







「やりたい部活、か…」










"将来の夢"










「くっだらね…」





校門を出る。
夕焼けが綺麗だなぁなんてらしくもないことを思いながら歩いていく。

車で迎えに来るはずだったのだが、向こうでちょっとしたトラブルが発生したようで来れない。
なので途中まで歩いてバスに乗る。





―――トンッ





「湊君!」

「っ!?」






音もなく表れた真波君に驚いてしまった。






「帰り?」

「ああ…真波君は…それで帰る…のか?」

「うん!」




それ。
真波君の乗っている真っ白な自転車。
でも、普通の自転車と全然違ってて、思わず見惚れてしまった。





「これがね、ロードバイクっていうんだよ」

「…真波君て、自転車競技部なのか?」

「そう!俺すっげー山が好きでね!この自転車に乗って山上るとすっげー気持ちいいんだ!!」

「そ、うなのか…?」





キラキラ目を輝かせて喋る真波君は、本当に嬉しそうで。
きっと彼にぴったりな部活なんだろう。と思って。



いいな、って思った。





「自転車って楽しい?」

「やっばいよ!!ホント最高!!!
ねぇ湊君はまだ部活決めてないんでしょ!?
なら俺と一緒に自転車競技部に入ろうよ!」

「…」





真波君がすごくきらきらしてて。





眩しくて。






それが、きっと俺には羨ましくて―――







「…できる、かな」

「…!」

「俺にも自転車、できるかな?」

「大丈夫だって!!俺が保証するよ!!!」

「……ありがと///」






それからしばらく真波君に自転車の説明をされて、大まかなことはわかった。
あと真波君がすごく山が好きだってことも。





「あー荒北さんに怒られちゃうかなぁ」

「荒北さんにあったの?」

「ちょっとね」




小さく苦笑する。
すると真波君が思い出したかのように手を打った。





「どうせなら今ここで書こうよ!」

「…へ?」

「入部届!!」

「ここ外だよ!?」

「いいからいいから!」

「ちょ、待ってよ!!」





真波君は自転車を家の塀に寄り掛かるようにしておいた。
それから勝手に俺の鞄の中をあさる。




「あった!」

「別に家でも…」




笑顔の真波君を見ていると、なんだかほだされてしまうような気がした。
ぶつぶつ文句を言いつつもペンを取り出して、入部届に名前を書いた。




「わぁ…湊君字うまいんだね…」

「…」





それを聞いて、思わずクセでむすっとしてしまう。
真波君は頭に?を浮かべたままだったけど、俺はそのまま入部届を鞄に突っ込んだ。




「…」

「湊君」

「ん?」

「俺さ、最初学校に来た時やっちゃったーって思ったんだよね」





そりゃそうだ。
遅刻してびしょ濡れで学校に登校すればみんなも驚く。





「でも一番最初に湊君がタオル貸してくれて、うれしかった!」

「っ///!!?」

「ね!湊君。改めてで変かもしれないんだけど…」





真波君は笑顔で手を差し出してきた。






「俺と友達になってください!」





返事なんてきまってるけど。
それがもどかしくて。





小声でつぶやいた。









「もちろん…///」
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