青天の霹靂

□Ride.2
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「…」

「…」





どういう経緯があってか、俺は今自転車競技部の前にいます。
あの安住先輩どうやらあれだけ言っても「入部届を見せてからにしろ!」だのなんだの騒がしくて。
とりあえずこの『荒北』さんがここまで連れてきた。
(逃げてきたというべきか)



で、部室の前で俺は荒北さんに睨まれている。怖いなこの人。






「あの、すみませんでした」





第一発声・謝罪。

安住先輩には多分、荒北さんが来てくれなかったら俺は何もできなかったし…
何より迷惑をかけてしまったからだ。





「荒北さんにはご迷惑をおかけしました。
それと、助かりました」

「…」

「あとは俺が何とかするので…」

「…」

「えと…」






荒北さんは腕を組んだままだんまりだ。
何だろう。怒ってるのかな?





「あの、荒北s「だーーーーー!!!っせ!!!」





怒鳴られた。
怖い人確定。





「今お前をどうやって安住から引きはがすか考えてンだヨ!!」

「…あ」





前言撤回。
怖いけど、いい人かもしれない。





「安住は3年でしつこい男って有名なんだヨ。1年のお前がどうにかできるわけねェ」

「では…」

「…手っ取り早い話、お前が自転車競技部入ればいい話だ」

「……俺が?」

「自転車持ってるか?」

「いえ」

「ンだよ…初心者かよ…いや当たり前か…」





荒北さんはさらに考えるかのようにして、独り言を並べていく。
少し早い口調に、置いてかれながらも俺はこの状況にどうしようかと戸惑う。





「そもそもなんで俺がこんなことしてんだ…」




小さくため息をついてら、荒北さんは俺を指さして言った。





「入部届出せ。
ンで安住に見せりゃあ上等だろ」

「…」

「偽装に決まってンダロ。お前だって本当は入りたい部活があるんじゃねぇの?」

「…入りたい、部活」





ぎゅ、と服の裾を掴んだ。
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