青天の霹靂

□Ride.1
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―――放課後






午後になれば曇り空から太陽がひょっこりと顔を出す。
雨上がりの空は、好きだ。




水溜りは俺の姿を映し出して、風が穏やかにそよぐ。





一枚の紙を手にして、学校を歩き回る。




先輩が沢山一年生に呼びかけをしていて。





「部活動か…」





ぎゃいぎゃいと騒いでいた。
特に箱学は運動部に力を入れているようで、先輩から熱気が伝わってくる。




紙を見てもどれもピンとくるものは無くて。
野球剣道柔道…一通り小さいころから習わされていて、まぁ運動神経は良い方だ。
でもどれも一度は体験したから高校までやろうとは思わない。
だから特にどの部活に入ろうかなんて決めてなかった。




ならばたどり着く先は一つだけ。






「帰宅部だな!」





よし帰ろう、と踵を返す。
安全に帰宅して、一年間の無事故を目指すのだ。
なにこれ完璧じゃん。




とか思ってると、一人の男子生徒が俺の前に立ち塞がる。
ムキムキで背も高くてまさに「漢!!!」って感じの。





「…」




なんだろうと思っていると。




「君!!!ぜひとも我がラグビー部に入ってくれ!!!」

「え…」

「その体格はいいぞぉ!!!今は華奢だが…ん?華奢?
まぁいい!!!ムキムキになって全国優勝を目指そう!!!」

「遠慮します」

「君ならすぐにレギュラーになれる!!!」





あ、この人人の話聞かないタイプだ。
ダメだこいつ。





「え、ちょ…俺はいらないって…」

「いいぞいいぞ!!さぁこっちだ!!!」

「あのっ!!やめてください!!!俺、俺は―――」





腕を先輩に引っ張られたとき、誰かが俺の肩を引いた。
結構強引に。



でもそのおかげで、先輩の手は離れた。




「安住ィ、こいつ嫌がってンだろ。
いっつも部活のことになったら目ェ熱くしやがって…」

「おお荒北!!こいつは今からラグビー部に入るんだ!!!」

「だから違ェっつってんダロ!!!人の話聞いてンのかヨ!!!!」

「む?じゃあ何の部活に入るのか?」





唐突に降られて、あたふたと視線が泳ぐ。
そしてそういえば俺部活にさっき入ったばかりだと思い出し、




「帰宅部です!!!」




とか自信満々で言ったらさらにラグビー部への勧誘が高まった。まじかよ。






「入る部がないのならぜひラグビー部へ!!!」






し つ こ い !!!




納豆のように粘り気のある男だ!!!
そんなことを思っていると、さらに「荒北」さんに肩を引かれた。






「こいつは―――」





戸惑いつつ、「荒北」さんはいう。






「自転車競技部に入ンだよ」







( ゚Д゚)?




ナンデスッテ?








自転車競技部―――?
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