青天の霹靂

□Ride.1
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上から下までびしょ濡れ。
今もなお水が滴っている。


先生も生徒も唖然としている中、少年は何事もなかったかのように席についた。




「…えっと、君は…真波山岳君?
遅刻…だよ…?」

「ごめんなさい!」

「…うん、次は気を付けてね…」





先生も何を言っていいのかわからないようで、とりあえず素直に彼が謝ったから良しとしたようだ。
彼、真波山岳君というらしい。






「…」

「あっ、お隣さんだね。よろしく」

「…よろしく」





急に話しかけてきたものだから、びっくりしてしまった。





「…」

「…」





これで会話終了、と思っていたけれど。
真波君はこちらをじーっと見つめている。
何かを待っているようだが。




「…何か?」

「君の名前は!?」

「…天津湊」

「湊君!よろしくね」

「よろしく」





そういうと、もう満足したのか真波君は鞄の中をあさり始めた。
タオルでも探しているのだろうか。
鞄もびしょ濡れなのだけれども。



さすがにちょっと見るに堪えなかったので、鞄の中からタオルを探して出した。





「真波君」

「え?」





真波君は一瞬きょとん、とした表情を浮かべてからタオルに視線を落とす。
それが何の意味か分かったようで、ぱぁっと明るい表情になった。





「ありがとう!」





その笑顔に、つられて俺も微笑んだ。
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