青天の霹靂

□Ride.1
1ページ/3ページ











入学式。
必ずしも晴天なんて誰が言ったんだろうか。







「…大雨」






4月にも関わらず台風が直撃。
桜なんて満開どころか一つ残らず散ってしまった。





体育館は屋根に大雨が打ち付ける音が大きく響く。
校長先生のぎこちない挨拶もそこそこに、入学式はほんの1時間程度で幕を下ろした。






教室に入ってからは学校案内のプリントとか年間行事だとか名簿とか委員会だとか部活だとかの紙を渡された。
一枚一枚軽く目を通していく中で、あるものに目が留まった。





(自転車競技部…?)





なんだそれは?
聞いたこともない部活動名に、少し困惑する。





(競輪みたいな部活ってことかな)
(ある意味珍しい部活かも、な)






くぁ、と欠伸をして窓を除いた。
大雨は止むことなく今もなお降り続いていた。


けれど俺は濡れる心配なんて微塵もしていない。
行き帰りとも車で送ってもらうからだ。



それでも雨の日は気分が悪くなる。
片頭痛ではないけれど、水はあまり好きじゃない。




曇天の空を眺めていると、正門から誰かが走ってくる姿が見えた。





「…?」





しかも自転車に乗って、だ。
こんな日に遅刻なんて運の無い奴だな。
思わず溜息がこぼれる。



しかもこの大雨だというのに自転車に乗って…。
呆れを通り越して潔く思えてきた。




そういえば。




と、ここで思い出したかのように隣の席を見る。





空席だ。





まさかとは思うが、一年じゃあ無いよな?
付け加えて隣の席じゃあ無いよな?






そんなことを考えながら、数分が立って。







教室のドアが開けられた。









「おはようございます!」







元気よく教室に入ってきたのは、青色の髪の少年だった。



その姿はあまりにも悲惨すぎて、さすがの俺もその光景には驚きを隠せなかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ