&‐アンド‐

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だけど。
私の声は神様に届かなかった。







「使えぬ下種が」

「っ、ゲーチス…僕は…」

「こんな女もさっさと殺して―――」





寧ろ、その願いは地獄に聞き入れられてしまったかもしれない。






「家族でしょ…あなた達は家族でしょ…?」







子供は愛される為に生まれて来るんだよ。
意味なんてない。
誰かの為に生まれて、そこにいるんだよ。






「愛されたいのは、ゲーチス…あなたも」






そうじゃないの?





「―――ぃ」






言葉が、紡ぐことが、でき、な、い。








「げほっ!!!」






パタタッ







今度こそ、見間違うことなき赤い血が大量に口から零れ落ちた。





―――タイムリミット



Nを救えないお前はここでゲームオーバーだ。





そんな声が聞こえた気がした。
気のせいかもしれない。






「リリィ…!!!?」

「リリィ!!!」





身体から一気に力が抜ける。
ずるり、と地面に倒れむ。
急に来る、脱力感。痛みは無い。けれど、立てそうには無かった。







「リリィ…リリィ!!!!」






ゾロアの声が傍に聞こえた。
ああ、まずい。
視界までもがぼやけて見えてきた。
いやだなぁ…ここで終わりたくないよ…。





いやだよ…かみさま…







薄れ行く意識の中で、不意に呟いた言葉。







「Natural…Harmonia…Gropius……」







あの、Nの部屋で見つけた文字列。
掠れて読みづらかったけれども。
その言葉の意味は。
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