黒の祓魔師
□第7話
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「…ああ、その力……本物の死神の…っ!!」
アマイモンは狂喜に満ちた表情を浮かべて、サクに手を伸ばそうとしていた。
何を掴もうというのか。
そんな、ボロボロの手で。
「まだ、戦うのか?」
「ボクは…決して負けませんよ」
もう、ズタボロにまでなったアマイモン。
決着は早かった。
全ては、本当に一瞬の出来事だった。
***
遡る事、数分前―――
隠鬼。
サクが宣言したと同時に、アマイモンは食って掛かったが、逆にサクは目を閉じて10秒数え始めた。
「隠鬼のルールは…鬼に見つかったら、アウトなんだよ?」
10秒。
スッと目を開けると目の前にはサクに拳を振るおうとするアマイモン。
だが、サクは鎌を振るう事無くその目でアマイモンを捉えた。
「やっぱ、知らないんだね。隠鬼」
バチィッ!!!
黒い球体がサクを覆う。
防御の炎か。とアマイモンは吐き捨てた。
「同じ、存在なのに、どうして!!!」
「対立した存在となっているか、か?」
サクは目を細め、鎌を振り下ろした。
鋭い刃はアマイモンの腹部を抉った。
赤い血が、空を舞う。
それは美しくもあり―――
酷く、醜くもあった。
「そんなの、知らねぇよ」
眉間にしわを寄せて、いつもみたいに笑わずに。
アマイモンは納得がいかないという表情を浮かべてサクに何度も突っ込んでくる。
だけど、サクはそれを軽やかに交わす。
「しつこいな、もう」
サクは息を吸い込む。
そして、叫ぶようにして荒々しく言葉を並べていく。
「“漣巌(レンゲン)の器"“黒の炎衝"!"神の宴に黒炎"!!!」
地面が急に歪んで、液体と化する。
黒い海のようだ。
燐は呆然とその光景を見ていて、害はないようだった。
「っ!?これは―――」
「全てを飲み込んで、無と帰しせ!!!」
黒い水はうねりをあげて、上に上がったと思ったらそれは龍の形を成したものだった。
そのまま意思在る生物の様に、アマイモンを飲み込んだ。
「…悪魔の大っ嫌いな炎尽くしだ。存分に味わえ」
***
「…こ、んな事で…」
そして、今に至る。
「ボクがやられるわけがないでしょう!!!!」
「「「!!!?」」」
アマイモンは鈍い音を立てて、地面を殴った。
その途端、強烈な揺れが3人を襲った。
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