日和
□水色の告白
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『そんな気遣い、苦しいです』
『―…気遣いとかじゃ、無いよ』
泣き出しそうな妹子の頬を、そっと太子の手が包む。
『私は、本当に平気なんだ。…まぁ尻は痛いけどな』
『っ…だって、太子、泣いてた…』
頬から伝わる太子の温もりに促される様に、妹子の目から涙が零れ落ちた。
『うん、痛かったからね』
『…辛そう、でした』
『痛いもん、そりゃ辛いに決まってるだろ?』
妹子の頭に手を回し、自分の胸に手繰り寄せる。
しゃっくりを上げ始めた妹子の頭が、呼吸に合わせて震えていた。
『私は妹子が好きなんだ』
直ぐに近くから聞こえたその言葉は、どれだけ待ち望んだものだったか。
『だから、泣かなくていいんだよ。妹子』
『たいし…』
妹子の腕が太子の首へと回される。
その手は酷く怯えた様に震えていて、太子は妹子の頭を撫でて宥めた。
『ごめ…なさい』
『…うん』
『…っ、すき…なんです』
『…うん』
太子の肩口に次第に冷たい雫が拡がってゆく。
昨日無理やりに得たものとは違う、温もりに触れられた気がした。
end
→アトガキ