じゃがー

□夜のひととき
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夜のひととき
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『なんか、眠れないんだけど』

電気を消して、寝る準備も整った頃。ジャガーさんがぽつり、と呟いた。

部屋の中は暗く、ジャガーさんとの距離は声でしか判断出来ない位。

『どうしたの?なんか飲んだっけ?』
『んー…いや』
『昼寝は…いつもしてるもんね』
『どうしたんだろ?』

仰向けの体勢から、ジャガーさんの方に体を向ける。

『羊の数でも数えてみれば?』
『そんなんで本当に眠れんのか?』
『…多分』

長い沈黙の後、ジャガーさんが唸り出した。

『駄目だ…名前のネタ尽きてきた…』
『一匹一匹に名前つけてたの!?』
『逆に頭使うぞ、コレ』
『まぁそうだよね…』

真剣に、眠れない、と悩むジャガーさんが可笑しい。

『ピヨ彦、子守歌うたって』
『えぇ?歌った事ないよ!』
『じゃないと、眠れない』
『う…』

強引というか我が儘というか…。

本当に子供みたいなジャガーさんのために物凄く曖昧な子守歌を口ずさむ。
この歳になって子守歌というのも、何だか恥ずかしいんだけどな。

『…ねーんねーん、ころーりーよー?ねこーろーりーよー…』
『…』

暫くすると、微かな寝息が耳に届いた。

『…ジャガーさん?』

応答がない、ということはもう寝てるのだろうか。
暗闇に慣れて来た目で、ジャガーさんの目が閉じているのを確認出来た。

『早いなぁ…』

子供らしい寝顔に思わず笑みが零れた。


『おやすみ、ジャガーさん』




end

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