日和
□水色の告白
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昨日、初めて太子を抱いた。
太子は始終痛い≠ニ泣いていて、
その泣き顔を、僕は一生忘れないと思った。
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水色の告白
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朝。
仕事場に真っ直ぐ行く気にもなれず、妹子はぶらぶらと公務室の辺りを歩き回っていた。
昨日一睡も出来なかった証拠に、鏡に映った妹子の目は、泣いたように腫れていた。
『…太子、今日来てないといいな』
週に何度かは仕事を放り、ほっつき歩いている太子のことだ。
今日もその日であることを祈っている自分に、妹子は嘲笑した。
今日会わなくても、明日も、明後日も会わない事なんて、不可能だ。
すぅ、と息をひとつ吸い、公務室のドアに手を掛けた。
『おおー、妹子、おっそい出勤だなー』
いつもの場所の、いつもの席に座る太子は、能天気な顔で妹子に笑った。
拍子抜けした妹子に、どうした?と訊いてくる程の余裕もある様で。
『…太子、』
『んー?』
『…身体、大丈夫ですか?』
辛そうに歪んだ妹子の声に、手元の書類に目を落としていた太子が顔を上げた。
『うん、私を誰だと思ってるんだ?摂…』
『どうして』
意気揚々と自分の身分を口にしようとした太子の肩を妹子が掴む。
『どうして、そんなに普通に振舞うんですか…っ?』
『妹…』
太子が困惑した声を上げるのを、妹子は塞いだ。
突然のキスに太子は目を丸めたが、抵抗は示さない。
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