日和

□雨の日のプランB
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雨の日のブランB
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混濁した意識の中に、ノイズ音が混じってくる。


−…否、違う。これは、雨だ。


ふ、と目を開けると、朝だと言うのに暗い。普段よりも天井が暗く見えた。

隣で昏々と眠る芭蕉の寝息が、何処か殺伐とした雰囲気を和らげている様に思え
る。


−…今日は、外に出られなさそうだな。


大粒の雨が、屋根や、地面を叩いている。少しの物音なら掻き消されてしまうほ
ど、その音は大きい。

『…嫌な目覚めだな』

天気に文句を言ったところで、誰も謝ってはくれないのだが。

『…ん、…曽良くん?』

重そうに瞼を上げながら、芭蕉が曽良を見てくる。
芭蕉は窓に目を向け、今日は雨なんだ、と言った。

『…この雨では、今日は出ることを控えた方が良いですよね』

不機嫌そうにそう告げると、芭蕉は半分起きかけていた体をまた布団に埋めた。

『わーい、今日はまだ寝てられる』
『…』

芭蕉は語尾に『♪』が付きそうな程、うきうきとしている様子。

『雨なのに、ご機嫌ですね』
『二度寝は至福だよー。それに、曽良くんとゆっくり出来るしねぇ』

芭蕉は、ほんわかと笑いながら、布団をかけ直し寝る体勢になっている。

『芭蕉さん』
『………、ん』

曽良が名を呼んだ頃には、芭蕉はもう夢心地だ。

溜息をつきつつ曽良も布団へ潜った。



雨音は相変わらず五月蝿いけれど、さっきよりも不快ではなかった。



end


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