2010・11・11 ゾロ誕〜♪

□はっぴいばーすでい!
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ため息がこぼれた。
わかってる、と胸の内で呟く。
どーゆーことなんだよっ!と何度自問自答したことだろう。
まったく、我ながら呆れる。


11月に入って、急に冬の気配が濃くなった。
今日はこの冬一番初めの木枯らしが吹いている。
校庭では、落ち葉と砂が一緒になって舞い踊っている。
セピア色のその中で。
そこだけが春の息吹のような若草色が動いていた。
サンジは教室の窓から、校庭を見ている。
そこでは体育の授業でサッカーをやっている。
鋭い笛の音。どっと上がる歓声。誰かがゴールを決めたらしい。
「おい、こら!」
いきなりすぐそばで声がした。あ、と見上げると、世界史担当の教諭が見下ろしていた。
「サンジー。そんなに校庭に行きたいなら、行ってもいいぞー。」
ちょろっと首を竦めるサンジ。
「かわいい子でもいたか…って、なんだよー、男子の体育かよ〜。お前、何が楽しくてあんなもん見てたんだ〜?」
赤い髪の教諭は惚けた声でそう言って教室を笑わせた。

きぃ〜んこぉ〜ん、と緊張感のない鐘の音。がたがたと音を立てて生徒達は教室を出てゆく。
サンジも勢いよく立ち上がった。
ぐだぐだしててもしょーがねぇ。やることはやらなくちゃ、どーにもなんねーし。
そう呟くと教室を飛び出した。

向かった先は調理実習室。
サンジは実は家庭部の部員だ。それもただ一人の男子。
もてたい一心で入ったわけではなく(もちろんそれもあるが)ただ単純に料理が好きだからだ。
なので調理の時しか参加しないのだが。
そして、今日はその料理の日だった。

しゃかしゃかとリズミカルに泡立て器が動く。透明な卵の白身がみるみるうちに白く、ふんわりとクリーム状になってゆく。砂糖を加え更に泡立てる。
「わぁ〜。やっぱりサンジ君は上手よねぇ〜。」
「うんうん。早いし丁寧よねぇ〜。」
横で褒める女の子達の声に気を良くしながらも、サンジは違うことを考えていた。


→→→続く
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