(`・ω・´)
□知ってるよ
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彼女はしくしくと泣いていた。
外はこんなにもいい天気なのにも関わらずに、さめざめと。
分かってる。
分かってる。
泣いてる理由が僕にあることだって理解してる。
だって、彼女はあまりにも純粋に僕に「好きだよ」なんて言うんだから。
いつもは「ふうん」とかそっけない返事を返していたけど。
「リジェネ、大好き」
なんだかくすぐったい気分になったんだ。
胸の辺りが暖かくなって、むずむずする。
それをどうにかしたかった。
「やめてよ、そういうの。」
そう、ポツリと零した言葉。
綺麗に笑っていた彼女の顔が強張るのが分かった。
違うんだよ、そんな顔させたかったわけじゃない。
でも、如何すればいいのか分からない。
ぽろりと転げ落ちた彼女の涙。
「ごめんね」
寂しそうに、彼女はそう言って僕を残して何処かに行ってしまった。
分かってる、彼女は自室に篭る事を。
泣き顔を人に見られるのが嫌なことも。
今、目の前の彼女の部屋の扉は閉ざされている。
僕すら入らせたくないらしい。彼女は自分を錘にしてまで扉を開けさせない。
「ねえ、」
しくしく、とすすり泣くような声。
この扉越しに彼女はきっと背中を向けて泣いてるんだろう。
こんなに近いのに触れられないのがもどかしかった。
扉に背中を凭れさせた。
もう、僕は全部吐き出してしまうよ。
実は、大好きで、きみがぼくを愛していたことも、ぜんぶ知っていたよ
「僕も、すきだよ」
君の泣き声が、止まった。
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Title by へそ
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