SS

□白いツバサ
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クリスマス。
電飾で彩られた街に世間は浮かれ、カップルで一杯だ。
そんな街の一角の喫茶店。

茶系で統一された店内は落ち着いた雰囲気が漂っている。
ただ、店の所々にサンタのぬいぐるみがあったりと何気にクリスマス仕様になっていた。

テーブルにはケーキとティーセット。
ケーキには“Merry Christmas”と書かれたチョコプレートがちょこんと乗っている。

アレルヤと対にして座っているのはティエリア。
そして対になっているのはもう一つある。お互いの表情だ。
ニコニコと楽しそうなアレルヤにムッと顔をしかめているティエリア。
ただ単にティエリアは初めて喫茶店に入ったので緊張しているのだが。

そんなティエリアにケーキを一口乗せたフォークが差し出された。

「なんだ貴様、要らないのであれば最初から注文するな。勿体無い」

…意外に経済的なティエリア。

「違うよ、あーんって」

「?」

「とりあえず口を開けて」

ティエリアは言われた通り口を開けた。
その中にフォークを入れて

「食べて」

口を閉じてフォークを追い出し、ケーキを味わう。
口の中に程よい甘さが広がっていく。

「…甘いな。」

「へっ?」

「何でもない。…ん、」

お返しとばかりに差し出されたティエリアのフォーク。そこにもまたケーキが乗っている。

「ありがとう、あーん…」

ぱくり、と口に入っていったケーキは直ぐに無くなった。

「うん、ここのケーキ美味しいね」

何気ない時間、何気ない会話、美味しいケーキ。
全てが甘く、二人の心を満たしていく。

「あ、雪だ…」

ふと、窓の外を見たアレルヤの声に窓を見てみればそこにははらはらと舞い落ちる白い粒。

「雪…」

初めて見る頼り無く降るそれに見とれるティエリアにアレルヤは語りかけた。

「来年も、再来年も。一緒に居ようね…」

「あぁ、勿論だ…」

聖なる夜に降る白いツバサに君を重ねた。
何も知らない無知で純粋な君に。





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