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□ベッドの中で
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アレルヤがふと目が覚めると隣にはティエリアが寝息をたてている。
窓の外には地上とは違い、朝の和かな光は無く無限に拡がる宇宙空間。

時計を見ると、いつも起きている時間よりも30分ほど早く起きたようだ。
もう少し寝ようと思って目を瞑ったが、完全に目が覚めてしまったようで寝れない。
ティエリアを起こすと後が怖そうなので起こさない事にした。

ふとティエリアの整った顔をよくみると伏せられた睫毛は長く、息をするために開けられた唇は色っぽい。
それなのに、眉間にシワを寄せている。

悪い夢でも見てるのかな…?

そう思い、アレルヤは頭を優しく撫でた。
しばらくそうしていると、シワはなくなり幸せそうに口角を僅かにあげた。
それが可愛くて微笑んだアレルヤは髪を撫で下ろした手をそのまま滑らせティエリアの白い頬まできた。

「んっ…」

ティエリアはピクッと反応してこちら側に寝返りを打った。
起こしてしまったかと思ったが、どうやら違うらしい。
今までと変わらず、寝息をたてている。

「可愛いなあ…」

ポツリと呟いたことでも部屋には大きく聞こえていた。
時計を見れば時は5分しか進んでいなかった。

「もう少し寝られるな…」

また呟き、アレルヤは恋人を包み込むように抱きしめて再び眠りの淵に着いた。




―――く、苦しい…




そう思って目を覚ましたのは紛れもなくティエリアである。
瞼を開ければ厚い胸板、身体には腕が回っている。
目の前に居るのはもちろん

――アレルヤ・ハプティズムか…

昨晩、アレルヤは一緒に寝ると譲らなかったのである。
なので仕方なく添い寝をしたのだ。

ティエリアはあまりにも苦しかったのか、身動きしづらい腕の中でもぞもぞと動いた。
そして自分だけが抱かれていることを不公平だと感じ、おずおずと広い背中に腕を回した。
ぎゅっと抱きつき胸に耳を当てると

―――トクン、トクン…

心音が聞こえる。
それは彼が生きている証。そして、ここにいる証。
その音に心を満たされるとティエリアはむくむくとアレルヤの顔に近づいた。それはもう触れそうなくらいに。
ティエリアがまじまじと見つめていると彼はハタと閉じていた瞼が開いた。

「ティエリア、おはよ…」

寝起きの金と銀の瞳がこちらを見ている。

「おはよう」

気まずそうにティエリアはベッドの上に座り込む。

「ねぇ、おはようのキスは?」

「…?そんなモノ、しなくていいだろう?」

「キスして?」

ここにね?とアレルヤは自分の唇に指を置き促す。

「今日だけだ…」

捨て台詞なるものを吐いてティエリアは唇を重ねてキスを1つ。触れるだけのバードキス。

「ん、ありがとう…」
満足したのかアレルヤは恋人の頭を撫でる。
それにティエリアはくすぐったそうに表情を綻ばせた。









†朝、隣に君がいる
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